2004年04月02日(金) 18時10分

米グーグルの発表は嘘？それとも本当？——今年のエイプリルフール・レポート（WIRED）

　エイプリルフールの1日(米国時間)、ネット上でさまざまないたずらが仕掛けられた。偽のニュース情報から架空の商品、嘘の企業発表にいたるまで、ありとあらゆる偽情報が流れている。

　とくに目をひいたいたずらには、月でのウェブ開発の仕事や、車載チキンロースター・コントローラー、自動的に空腹感を制御する装置などがあった。今年のいたずらの大半に共通する特徴がある——それを一瞬たりとも本気で信じる人はまずいないという点だ。

　有名ないたずらを収集したサイト『 http://www.museumofhoaxes.com/ いたずらの博物館』(Museum of Hoaxes)のキュレーター、アレックス・ボーズ氏は「どれもこれもひどくばかげている」と述べ、今年ネット上でいたずらを仕掛けた人々は、本当だと思われることよりも、面白いと思われることを気にかけているようだと語った。

　信じられない機器のカテゴリーでは、風変わりな道具ばかりを集めたオンライン小売店『 http://www.thinkgeek.com/ シンクギーク』が今年も、エイプリルフールにはインチキ商品を掲載するというここ数年の習慣を実行している。今年のインチキ商品には、タワー型パソコンの5.25インチ拡張ベイに収められる『 http://www.thinkgeek.com/stuff/41/ezbake.shtml PC EZ(イージー)ベイク・オーブン』、胃に入れておくことで空腹レベルを自己制御できる『 http://www.thinkgeek.com/stuff/41/gastron.shtml ガストロン——リモコン式空腹除去装置』、身体に貼り付けておくと継続的にカフェインを摂取できる皮膚パッチ『 http://www.thinkgeek.com/stuff/41/caffederm.shtml カフェダーム』などがある。

　他にはこんないたずらもあった。イギリスの『 http://www.guardian.co.uk/ ガーディアン』紙の広告では、独BMW社が生み出した新技術によって、ドライバーは仕事場から自宅に戻る間に車内で夕食が作れると謳っていた。この『SHEF(衛星超高感度電磁食事供給)技術』の広告からジャンプした http://www.anewwaytocook.co.uk/shef/index.htm ウェブサイトには、ローストされたチキンと格好のいいセダンの画像と一緒に、「チキン・ア・ラ・M42」といったおすすめレシピへのリンクも貼られている。

　人気の音楽プレーヤー『iPod』(アイポッド)のファンが集うサイト『 http://www.ipodlounge.com/ iPodラウンジ』には、米アップルコンピュータ社が史上最小のポータブル・ビデオ・プレーヤー『 http://www.ipodlounge.com/ipodnews_comments.php?id=3450_0_7_0_M iPod V』を売り出すという偽の発表が掲載されている。

　今年のエイプリルフールには、政治家までもが参加している。共和党全国委員会(RNC)は、民主党の大統領候補、ジョン・ケリー氏に対する最新の攻撃として、50万人を超える同党のリーダーにウェブビデオを送信した。このビデオクリップの中では、ケリー氏のフランス人のいとこと紹介される人物が、自分はブッシュ米大統領の熱烈な支持者だと話している。

　宗教や精神世界のポータルサイト『ビリーフネット』もこのエイプリルフールのばか騒ぎを楽しんでいる。同サイトは、世界の主要なキリスト教の宗派による神学上の新しい取り決めに基づき、 http://www.beliefnet.com/story/143/story_14315_1.html オプラ・ウィンフリー[米国のトーク番組の司会者]が三位一体の4番目の人物として宣言されたいきさつについての記事を掲載した。他にも、 http://www.beliefnet.com/story/143/story_14341_1.html ダライ・ラマの「若々しい姿」や、ついてない日の祈りのサークルといった見出しが並ぶ。

　エイプリルフールの日の宣伝活動で、検索エンジンの中で群を抜いていたのは米グーグル社だ。『Google』のトップページに置かれた「地球の外」の仕事というリンクをクリックすると、「グーグル社は、月面ホスティング・調査センターの技術者を希望される方の面接を行なっています」という http://www.google.com/jobs/lunar_job.html 募集広告が現れた。さらに2007年春に開設予定の月面センターには、低コストのウェブサーバー2万7000台が設置され、技術者35名、マッサージ療法士2名、寿司職人1名が雇用されるとの記載があった。

　グーグル社はいっそう真剣な調子で、 http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20040402105.html 無料電子メール・サービス『Gメール』(Gmail)(日本語版記事)が間もなく始まるという称賛に値する http://www.google.com/press/pressrel/gmail.html 発表も行なっているが、これがいたずらなのかどうかについての憶測がネット上で広がっている。この発表がメディアの多大なる関心を集めている一方で、このプレスリリースの言い回しがおかしいのでいたずらではないかと考える人もいる。プレスリリースには、このサービスが1GBの保存容量を無料で提供し、「アカウントの所有者がそれまでに送信あるいは受信したことのあるいかなるメッセージでも即座に呼び出すことができ」、さらに「大多数の言語(クリンゴン語も含む)での電子メールの送受信に対応済み」と書かれているのだ。

　グーグル社は、無料の電子メール・サービスはいたずらではないと念を押した。『いたずらの博物館』のボーズ氏は、この電子メール・サービスはいたずらとは思えないと述べた。

　「1GBの容量を提供するという話は十分信じられるので、それほど気の利いた冗談、あるいは面白い冗談とは言えないだろう。だが、この発表をエイプリルフールに行なうことで、本当だとしたら話がうますぎると話題にされる効果はあったかもしれない」

　『 http://www.ask.com/ アスク・ジーブズ』もグーグル社に負けることなく、検索エンジンのばかげた競争に加わった。エイプリルフールのホームページに、普段はスーツ姿のアニメの執事を、 http://www.wired.com/news/images/0,2334,62901-11603,00.html シャツと模様付きのトランクスという姿(写真)で登場させている。アスク・ジーブズはプレスリリースの中で、こんな格好をしているのは「洋服ダンスが開かなくなったから」だと説明している。

[日本語版：天野美保／高森郁哉]

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