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2004年03月31日(水) 16時22分

「週刊文春」発売禁止命令の取り消し決定 東京高裁朝日新聞

 田中真紀子前外相の長女の私生活に関する記事を掲載した「週刊文春」が出版差し止めの仮処分命令を受けた問題の保全抗告審で、東京高裁(根本真裁判長)は31日、文春側の主張を認めて仮処分命令を取り消す決定をした。根本裁判長は「記事によるプライバシー侵害の内容・程度を考慮すると、事前差し止めは否定的に考えるのが相当だ」と理由を述べた。

 高裁は24日に審尋を開いて双方から意見を聴いた。

 東京地裁の鬼沢友直裁判官は発売前日の16日、長女側の申し立てを相当と認め、出版差し止めを命じる仮処分の原決定を出した。これに文春側が異議を申し立てたが、同地裁の大橋寛明裁判長も19日、「長女の私事が公共の利害に関する事でないことは明らかで、プライバシーは他人に広く知られて侵害された後では、回復困難だ」として出版差し止めは妥当だと判断した。

 文春側は仮処分命令の送達を受けた直後に3万部の出荷を止めた。この時点で、すでに74万部が流通ルートに乗せられていた。この74万部について、大橋裁判長は「すでに文春側の占有下になく、差し止めの対象外」と判断し、実質的に残りの3万部を販売差し止めの対象とした。

 文春側は、抗告理由の中で異議審に続き、(1)前外相の後継者問題にかかわる内容が含まれており、報道には公共性がある(2)すでに大半を販売済みで、仮処分命令を維持しても実効性がない−−などと主張していた。

 根本裁判長は大阪高裁時代の00年、大阪・堺市の殺傷事件の容疑者(当時少年)の実名と顔写真を掲載した「新潮45」訴訟で、「社会の正当な関心事」を認めて掲載は違法ではないとする判決を言い渡している。プライバシー問題に詳しい判事だけに、抗告審の決定が注目されていた。(03/31 16:13)

http://www.asahi.com/national/update/0331/022.html