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2004年03月29日(月) 07時41分

知財訴訟、専門委員140人任命へ 審理に参加、解説も朝日新聞

 知的財産権をめぐる訴訟で、最高裁は大学や企業の研究者、弁理士ら140人を4月1日付で専門委員に任命する。裁判で専門技術を説明したり、訴訟当事者や証人に質問したりして迅速で適切な審理を図る。また、4月から全国特許訴訟の控訴審が集中し、事実上の「知財高裁」となる東京高裁は、知的財産担当の裁判官18人全員による「特別合議部」を新設し、下級審で判断が分かれた場合など事実上、判断を統一する。

 専門委員は4月に施行される改正民事訴訟法で新たに導入される。特許訴訟をめぐる一審の管轄権は東京、大阪両地裁に限定されるため、委員は東京で約100人、大阪で約40人とした。これら専門委員は高裁の審理に参加することもできる。委員は、当事者の主張や実験結果が食い違う場合に、その背景やポイントを説明する、いわば「家庭教師」的な形で訴訟の道筋をたてるのにかかわる。

 最高裁は、各学会の推薦などを踏まえて、バイオテクノロジー、コンピュータープログラム、機械、電気、化学など幅広い分野から任命する。例えば、半導体を専門にする大手電機会社の研究主幹や大手化学会社の知的財産技術情報センター長、数理工学の権威とされる研究者らだ。

 特許などの知財訴訟は今後増えることが予想される。訴訟金額も高額化しそうで、経済界からは「企業の予測可能性を高めるために判断の早い統一を」「技術専門家の十分な活用を」という要請が強かった。今回の改革はこうした声を受けてのものだ。

 知財訴訟の審理では、裁判所が事件ごとに最適な専門委員を選ぶ。問題が複数の領域にまたがる場合には2人以上を選んでもいい。選任の際には、大学や企業での実績、経歴を訴訟当事者に公開し、手続きの透明性を図る。当事者が「裁判の公正を妨げる恐れがある」と判断すれば専門委員の忌避を申し立てることも可能だ。

 一方、東京高裁の特別合議部による審理は、知財を専門に扱う四つの部の判断を事実上統一する「大法廷」の役割を担う。同種裁判で東京、大阪両地裁の判断が異なるときなどに開き、同部から選んだ5人の裁判官が審理。主要なメンバーは、知財専門部の4人の部長かそれに準じる裁判官で構成される。もちろん、その結論に当事者が納得できなければ最高裁への上告も可能だ。

 改正民事訴訟法で、特許訴訟の控訴審が東京高裁に一本化され、合わせて5人の裁判官での合議が可能になったことを活用した。

      ◇      ◇

 〈知財訴訟〉 特許権、実用新案権、著作権、商標権など知的財産権の争いをめぐる訴訟。技術競争が激化する中で、件数は増え、内容も高度化、専門化しており、訴訟の使い勝手をよくする狙いで法改正が繰り返されている。専門委員が活用されるのは主に特許訴訟で、(1)特許権が侵害されたとして差し止めや損害賠償を求める訴訟(2)特許権が有効か無効かの審判で特許庁が出した審決の取り消しを求める訴訟、の二つに分かれる。(03/29 07:41)

http://www.asahi.com/national/update/0329/004.html