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2004年03月29日(月) 00時00分

防犯カメラ 市民の自由は守れるか 東京新聞

 街頭などの防犯カメラについて東京都杉並区が全国初の条例をつくった。カメラの運用面での一定の規制も盛り込んでいるが、まだまだ不十分だ。「監視社会」が進まないよう幅広い議論が必要だ。

 「情報社会の中ではプライバシーは見えない私有財産。これを守る体制をつくることが、われわれの大きなテーマだ」。山田宏区長は、防犯カメラの設置及び利用に関する条例案が区議会で可決、成立した後、こう言い切った。

 条例は「防犯カメラの有用性に配慮しつつ、区民などの権利利益を保護する」と目的をうたっている。区や商店会、町会などが道路、公園などに設けるカメラが対象だ。設置者は区長に届け出る義務がある。

 設置する場合、カメラのあることがわかるよう表示しなければならない。画像の加工、第三者への提供などは原則禁止される。カメラについて苦情があれば、区民は区長に申し立てることができる−というのが主な内容。施行は七月一日からだ。

 多発する犯罪の抑止の切り札として、防犯カメラは全国で急速に普及している。昨年七月には、長崎市の男児誘拐殺人事件で、防犯カメラの画像が犯人逮捕の決め手になった。杉並区の商店街の落書き事件も、カメラが解決へ導いた。

 全国レベルの各種世論調査をみても、繁華街などのカメラ設置について大半が「賛成」の意見だ。犯罪の予防に効果を期待しているのが、その理由である。一方で、ところかまわず映されることに市民の不安の声があるのも事実である。

 杉並区の条例では画像を目的外に使用することを禁じているが、カメラの撮影方法や保管方法、保存期間が明示されていない。

 一方で、国や都などが設置するカメラは対象から外されている。金融機関やコンビニ、個人が自宅に設置する範囲も適用されない。コンビニにも、店のカメラではなく、警察の監視カメラが進出している。個人が複数のカメラを自宅に取り付けて近隣を見張っているケースもある。

 今回の条例は違反しても罰則がない。基本原則に「容ぼう・姿態をみだりに撮影されない自由を有する」とうたったのは評価できるが、監視が強まることへの不安も強い。市民的自由が十分守れるだろうか。

 他の自治体でも同様の条例化の動きがあるが、そもそもカメラの撮影は肖像権にかかわる問題である。杉並区の例をきっかけに、国や都、警察の監視カメラなどについても、法整備を含めて各機関や議会は真剣に考えるときだろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040329/col_____sha_____003.shtml