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2004年03月26日(金) 14時28分

社説2 始まった個人金融の大競争日経新聞

 メガバンクの一つの三菱東京フィナンシャル・グループと消費者金融大手アコムが資本・業務面で提携することになった。三菱東京は4月にアコムへの出資比率を現在の2%強から15%に引き上げて系列化し、個人向け融資を共同で展開する。大手銀行と消費者金融という業態の垣根を越える今回の提携は、個人金融分野でも大競争時代が始まったことを示している。

 三菱東京は消費者金融子会社で進めていたアコムとの連携を今回はさらに進め、銀行本体で扱う個人向け無担保ローンでも協力する。銀行が担保なしで個人に融資する際に、アコムが審査能力を生かして保証をつけるのが柱だ。アジアなどでの国際展開でも協力を進めるという。

 これまで銀行は、比較的安全な住宅ローン以外は個人向け融資にさほど力を入れていなかった。その大きな理由は、消費者金融会社のような審査能力を持っていなかったためだ。業界で個人の信用情報を蓄積し、借り手を信用度に応じてきめ細かく分類して貸倒引当金を積むといった消費者金融のノウハウは銀行にはなかった。

 だが不良債権の痛手を負い、収益をあげる新事業モデルの確立を迫られた大手銀行は、うまくやれば高収益を見込める消費者金融に目をつけ始めた。大手銀もここ数年、消費者金融会社などと組んで子会社を設立し、無担保融資に取り組んでいる。今回の提携はその動きをさらに加速する可能性がある。

 アコムには、大手銀行の系列に入ることで、資本基盤を強化するとともに信用力を増すメリットがある。急拡大してきた消費者金融業界も競争が激しくなり飽和状態になっている。そこに大手銀も参入し、業態を超えた再編圧力は強まっている。

 米国の大手銀もクレジットカード業務を含む消費者金融を収益の柱にしているところが多い。収益力が弱いと批判を浴びる日本の銀行が個人金融を強化するのは当然の流れだろう。銀行の参入でサービスが広がって、より便利になれば消費者にとっても望ましい。だが一方で、多重債務者問題など個人の「借りすぎ」を助長しないような工夫を銀行は業務拡大に当たって怠るべきではない。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040326MS3M2601H26032004.html