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2004年03月26日(金) 02時08分

3月26日付・読売社説(1)読売新聞

 [個人情報保護]「自治体の『窓口』充実が重要だ」

 コンピューターに収集、蓄積された大量の個人情報が漏出する事件が、後を絶たない。個人情報保護に、万全の体制作りを急がねばならない。

 個人情報保護法の来年四月からの全面施行を控え、個人情報を保護する仕組みやトラブルの処理方法を示した基本方針案が、国民生活審議会の個人情報保護部会でまとまった。四月上旬に閣議決定される。

 個人情報保護の核心は、プライバシーの権利の保護にある。個人情報は、取り扱いによっては個人の人格権や財産権が侵されるおそれがあるからだ。

 個人情報保護法は、民間事業者に、個人情報を本人の同意を得ずに第三者に提供することを禁止し、本人からの苦情を迅速に処理することなどを義務付けている。違反すれば、罰則が適用される。

 例えば、身に覚えのない電話やはがきでセールスや勧誘を受けたら、自分自身の情報の入手方法や情報の開示を求め、内容に疑問や不備があれば、利用を拒否したり、訂正を求めることもできる。

 基本方針案は、今後一年間に、個人情報を取り扱う民間事業者や業界団体が、安全管理などの責任体制を自主的に準備するための大枠を示している。国や地方自治体にも、個人情報についての苦情を迅速に処理するよう求めている。

 関係機関は、相互に連携し、個人情報を適切かつ厳格に管理する体制の整備を急ぐ必要がある。

 スーパーなどでも、顧客名簿が五千人を超えれば、法で定めた個人情報取り扱い事業者としての義務を負う。民間事業者が個人情報保護管理者を指名し、従業員の意識を高め、責任体制を確保するのは、最低限のルールだ。

 業界団体ごとにきめ細かい指針を作成することも重要だ。個人情報が漏出すれば、二次被害や再発の防止のため、直ちに事実関係を明らかにすべきだ。

 国や自治体の体制作りでは、窓口業務が重要だ。個人情報にかかわる個人の権利侵害も、消費生活センターなど苦情相談窓口で明らかになるケースが多い。

 専門知識を持つ相談員の研修・育成、窓口と国や自治体の関係部局との密接な連携、相談事例の情報共有などが、苦情の円滑な処理に不可欠だ。

 しかし、消費生活センターなどの窓口の現状は、従来の相談業務で手いっぱいだという。自治体は、人員配置や予算措置にも配慮すべきだろう。

 個人情報をきちんと保護する体制を整備することが、個人情報を取り扱う行政機関や民間事業者への信頼を高め、高度情報通信社会を支えることになる。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040325ig90.htm