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2004年03月17日(水) 02時14分

田中元外相長女の記事掲載、週刊文春に出版禁止命令読売新聞

 17日発売の「週刊文春」に掲載される元外相、田中真紀子衆院議員の長女のプライバシーに関する記事を巡り、長女が発行元の文芸春秋に出版禁止を求めた仮処分申し立てについて、東京地裁は16日、記事を削除しなければ出版・販売してはならないとする決定をした。

 週刊誌に対する出版・販売の禁止命令は極めて異例。文春側は「到底承服できない」として、17日にも同地裁に異議を申し立てるとしている。

 決定では、「記事を切除または抹消しなければ、販売したり無償配布したり、第三者に引き渡してはならない」としている。

 長女側の弁護士は16日夜、「たとえ公人たる政治家を親族・家族に持つ者であっても、憲法上、法律上、プライバシー権を享受するものであり、東京地裁の決定は理にのっとったもの」とのコメントを出した。

 一方、関係者によると、77万部を発売予定で、決定文の送達を受けた16日午後7時45分にはすでに74万部が取次店に出荷済みだった。東京近郊を中心に発売予定だった残る3万部についてのみ、販売差し止めの措置をとったという。同社では、異議申し立てが認められなければ、東京高裁に即時抗告する方針。

 出版物の販売・出版禁止の仮処分申し立てが認められたのは、1989年、東京地裁が仙台育英高校の元教諭が同校を経営する仙台育英学園を内部告発した本について、プライバシーにかかわる部分の発売禁止を認めた例がある。97年には、宝塚歌劇団のトップスターらの住所や本名を掲載した「タカラヅカおっかけマップ」などに販売禁止が命じられた。

 文芸春秋の浦谷隆平社長室長は「記事では、長女の人権に十分な配慮をした。訴えには、誠意をもって話し合いを続けたい。しかし、言論の制約を意味する今回の仮処分決定は、わずか1人の裁判官が短時間のうちに行ったもので、とうてい承服できない」と話している。

 堀部政男・中央大教授(情報法)の話「出版の事前差し止めは、『北方ジャーナル事件』に関する最高裁大法廷判決が厳格な要件を課した上で認めており、今回の地裁の決定もそれに沿ったものだろう。ただ、部数も多く影響力もある週刊誌の事前差し止めを認めたのは異例だ。公人の親族であってもプライバシーは保護されねばならないという判断だろうが、最高裁判例も事前差し止めは極めて例外的な手段としてのみ認めている。表現の自由に関する重要な問題として、大いに議論する必要がある」(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040316-00000315-yom-soci