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2004年03月17日(水) 00時00分

週刊文春の出版禁止命令 真紀子氏長女記事 東京地裁決定 東京新聞

■プライバシー侵害

 元外相の田中真紀子衆院議員の長女(29)の代理人を務める森田貴英弁護士は十六日、東京地裁(鬼沢友直裁判官)が同日、十七日発売予定の「週刊文春」(文芸春秋発行)の出版禁止の仮処分命令を出したと、発表した。長女側がプライバシーを侵害する記事が掲載されているとして、出版差し止めを求めた仮処分が認められたという。

 大手週刊誌の発売直前に、出版禁止の仮処分命令が出されるのは、極めて異例。

 文春側によると、決定送達は十六日午後七時四十五分で、以降の約七万部の出荷は差し止めた。取次店には既に約七十万部を出荷しており回収はせず、取次店の判断に任せるという。電車の中づり広告などの回収や中止は物理的に無理という。

 森田弁護士によると、決定は文春側に「(長女に関する記事を)切除または抹消しなければ、販売したり、無償配布したり、第三者に引き渡したりしてはいけない」と命じる内容だという。

 十六日夜、東京地裁の執行官とともに文芸春秋に出向いて、今回の決定を送達しており、文春側が異議を申し立てても、それに対する決定が出るまで、出版禁止は継続されるという。

 問題とされたのは、週刊文春三月二十五日号で「独占スクープ」との見出しで、長女の私生活に焦点を当てた三ページにわたる記事。

 森田弁護士は「公人たる政治家を親族・家族に持つ者であってもプライバシー権を享受する。記事に間違いが多いうえ、一般人である長女のプライバシーに関することを友人や知人に聞き回るなど、取材手法にも問題があった」と話している。

 浦谷隆平・文芸春秋社長室長の話 人権には十分な配慮をしたが、訴えには誠意を持って話し合いを続けたい。しかしながら、言論の制約を意味する今回の販売差し止めの仮処分決定は、わずか一人の裁判官が短時間のうちに行ったもので、暴挙と言うほかなく、とうてい承服できない。決定には異議を申し立てる。

 田島泰彦上智大教授(憲法・メディア法)の話 公人の名誉棄損をめぐり裁判所が出版の差し止めを認めたケースはあるが、厳格な要件が必要とされている。後に回復を図れる名誉の棄損とは異なり、プライバシー侵害の場合には回復が困難という問題を含んでおり、重大な事案では差し止めもあり得る。今回は私人という点が重視された面もあるだろう。しかし事前抑制は表現の自由や報道の自由にかかわる。権利侵害があっても簡単に認めるべきではなく、厳格性が必要だ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040317/mng_____sya_____006.shtml