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2004年03月16日(火) 00時00分

小泉武夫の食味学 … 桧山納豆読売新聞


ネバネバ感はたっぷりだが匂いは強くなく、多くの人に好まれる味。作られてから5日〜7日後ぐらいが一番の食べごろという  毎朝食卓に顔を出す、ネバネバと粘りのある納豆を「糸引き納豆」とも言うが、その歴史を語るものは、意外に秋田県に集中している。

 俗説だけれども、八幡太郎義家が秋田地方に出征したときに、糸を引く豆をその家来が農家で発見して持ち帰ったとか、京から行った官人が秋田の農家の神棚で見つけて持ち帰ったとか、さらには水戸の殿様のお姫様が、秋田の若殿様のところに嫁入りし、その縁で秋田の納豆が水戸に伝わったとか、とにかくこの種の話が多いのだ。

 その秋田県でも、民謡「秋田音頭」にも唄い込まれるほどの名物が、名品桧山納豆である。江戸時代の文化文政のころ、小西又四郎という人がその製法を考察したという伝えも残っている。だから、別名を「又四郎納豆」といい、その製法での納豆は昭和初期まで続いた。

 とにかくユニークなつくり方で、煮豆を仕込んだ藁苞(わらつと)を木箱に詰め、そこにおが屑をどっぷりと掛けてから、蓆で覆い、さらに重石をして2〜3日間発酵させて出来上がりである。

 発酵学からみると実にユニークで、しかも理に適った発酵法である。これではきっと美味い納豆が出来るであろう。一時、この製法は途絶えたが、再び一部で昔通りに復活されたというニュースが伝わってきたときには嬉しかった。

 納豆は今日、美味しいだけでなく、その保健的機能性(血液をサラサラにする、血栓を溶解する、血圧を平常に保たせる、中性脂肪を低下させる、整腸作用がある、など)が次々に解明されてきて、国民的な発酵食品へと発展してきた。

 大いに納豆を食べて、これからの人生、納得よ。

旅行読売2004年4月号より

http://www.yomiuri.co.jp/tabi/gourmet/fudoki/fd040403.htm