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2004年03月13日(土) 14時57分

社説1 三菱ふそうは企業の社会的責任が欠如日経新聞

 三菱ふそうトラック・バスは、大型トレーラーのタイヤと車軸をつなぐ金属部品「ハブ」が破損してタイヤが外れる恐れがあるとして、国土交通省にリコール(無償の回収・修理)の実施を申し出た。

 同社のタイヤの脱落事故はこれまで約50件起き、2年前には横浜市で母娘3人が死傷した。神奈川県警は二度にわたり本社などを強制捜索していた。それでも、同社は「整備不良が原因」とユーザーへ責任転嫁を繰り返してきたが、今回は一転してメーカーの設計上の欠陥を認めたものだ。

 天下の「三菱」ブランドをつけたメーカーとも思えないお粗末な対応だった。事故以上に、2年間も原因追及と対策ができず放置してきた経営陣に不信感と怒りを覚える。

 三菱ふそうは、昨年1月に三菱自動車のトラック・バス部門が分社し、ダイムラークライスラーが筆頭株主となり社長も派遣した。従来の主張を一変させたのは、警察の捜査に加え、さらに株を取得し子会社化するダイムラー側が過去の問題の清算を急ぐ決断をしたのが背景だ。

 三菱自は、不祥事続きだ。1997年には取締役が総会屋に現金を供与して逮捕された。2000年には内部告発で、リコール対象となる顧客からのクレーム情報の隠ぺいが発覚した。トップが引責辞任し、その後ダイムラー出身のエクロート社長が再建の任に当たっている。

 日産自動車がカルロス・ゴーン社長の手腕で再生し、トヨタ自動車やホンダが過去最高益を更新するなかで、三菱自は業績が低迷している。そのためダイムラーが本体の社長候補の実力者を次期社長として派遣したり、三菱グループが増資を引き受け、三菱重工業が会長を送り込むなど再建策を発表したばかりだ。

 分社したとはいえ同じ「スリーダイヤ」のマークをつけて走る三菱ふそうの商用車のリコール問題は三菱自の乗用車販売に影響を与えることになる。過去の不祥事も重なり社会的責任に欠ける企業として、消費者の目は厳しくなる。

 情報公開を核としたリコール制度は、費用負担はあるが、日本の自動車の品質向上と消費者の信用確保に大きな役割を果たしてきた。

 国交省もいまのところ、三菱ふそうが欠陥を隠ぺいしたとはみていない。しかし、これだけの頻度で起こるタイヤの脱落の原因を整備上のミスと放置したことに作為すら感じる。なぜリコールが遅れたのか。警察の捜査だけではなく、国交省も徹底的に調査すべきだ。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040313MS3M1301513032004.html