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2004年03月10日(水) 00時00分

ゼニゲバ男の仰天セクハラ治療…摂食障害つけ込み前歴は広告会社員、居酒屋従業員…借金トラブルで夜逃げZAKZAK

 大菩薩はエロエロおやじ−。摂食障害の女性患者にインチキ“治療”で高額な治療費を取り、東京地検特捜部に所得税法違反容疑で逮捕された「摂食障害回復センター」経営者の男(54)=東京都世田谷区代沢。「“気”を送って治す」と胸にタッチし、抱きついて「キスしていい…」。「ken(けん)先生」「賢治安(けんちゃん)大菩薩」と名乗るゼニゲバ男の素性とセクハラ“治療”の実態とは−。

 【1億円を脱税】

 特捜部の調べだと、男は摂食障害で悩む女性をカウンセリングする“治療院”を経営。平成12年からわずか2年間に治療費名目で約3億円を荒稼ぎしたが、帳簿を作らず、約1億円を脱税していた疑い。

 14年11月には「浄土菩薩会」と宗教団体を名乗り、「賢治安菩薩だ」と教祖さまに…。治療費を「お布施だ」と主張していたが、「宗教法人としての登録すらなく、脱税の言い逃れ」(捜査関係者)だった。それ以上に男の“罪”を知る関係者は「本来は強制わいせつと詐欺で立件されるべきだ」と憤る。

 【もっと脱いで】

 男は10年ごろ「ダイエット研究所」を小田急線下北沢駅近くの古い自宅アパートに開設。インターネット上のホームページに電話番号とメールアドレスのみ公開し、「ボランティアとして無料で電話相談、メール相談している」と女性たちからのアクセスを待つ手口で、“治療院”へ誘い出していた。

 「先生との無条件の愛に包まれれば、2人の世界に入れば治るから…」「薄着にならないと気功が効かない。もっと脱いで」。男はこう女性へ脱衣を要求。わざわざホットカーペットやエアコンで室温を高めたりもしていた。

 そして女性が全裸になるとベタベタとタッチ。「『ハグ』といって抱きついたり、自分の好みの子には『キスしていい?』とほっぺにキスしたりしていた」(被害者の知人)と到底、治療とはいえないセクハラ行為を強要した。

 「繰り返しやらないと効果が出ない」と通わせたうえ、料金は2日セットで16万円と法外で、被害者の中には100万円単位をつぎ込んだ女性もいるという。

 【治癒率90%を自称】

 味をしめた男は、大手検索サイトの掲示板へ宣伝を始める。

 ここでもken先生と名乗り、「摂食障害を3カ月で90%の確率で治します」と、専門医が首をかしげる文句で女性らを勧誘していた。

 見かねた一部の被害女性らが「薄着で行ったら『セクシーだね』っていわれた」「カルテにスリーサイズを書く欄があって、いやらしいポーズを取らされた」「私の体を触りながら居眠りしてた」「麻原彰晃のイニシエーションみたいだ」と同掲示板上で実態を暴露。

 掲示板の常連だった医師は「一般向けの摂食障害の本は読んでいたようだが、体系的な勉強はしていないのがミエミエ。『ken先生のおかげで治った』と自作自演の書き込みもしていた」という。

 被害者の会を結成した摂食障害専門医で緑ヶ丘病院(宮城県塩竈市)の菅野庸医師は「最近は10−15人の全裸女性と男も全裸になり、1日6時間、部屋で手をつないだりするなどカルト教団のようだった」と証言する。女性たちには、「第3者にここであったことを漏らすと1000万円を1カ月以内に払う」という誓約書を書かせていたらしい。

 現在は下北沢の豪華マンションの一室で暮らす男とは何者か。ある知人は「約3年前、(無名の)広告会社の社員だと本人の口から聞いた」。別の知人は「約5年前、川崎の居酒屋の従業員として働いていたという話を聞いた。確か、借金だかのトラブルでそのまま夜逃げしたようだ」と話す。

 どうやら「ケンちゃん菩薩」さまも経歴詐称に間違いないようだ。

ZAKZAK 2004/03/10

http://www.zakzak.co.jp/society/top/t-2004_03/1t2004031020.html