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2004年03月09日(火) 12時58分

春秋日経新聞

 寒の戻りでいったん身を縮めたつぼみや新芽も、再びふくらみ始め、春は例年より早く進行しているらしい。水辺では、動物の角を思わせる葦(あし)や荻の鋭い芽がにょきにょきと生えてきて、角組(つのぐ)む季節を迎えている。古事記では角ならぬ牙、葦牙(あしかび)と呼んでいる。

▼春、人の世でも多くの職場で新人がデビューする。世に出たばかりの若さは、ともすればとがった正義感や使命感が先走り、世間の荒波にもまれて角がとれてからが一人前……。こんな思いこみに反して、はなから角がとれ、覚めている新人が近ごろは多いという。考える葦はもう角組まなくなったのだろうか。

▼警察組織の不正な裏金づくりを告発して声を上げているのは、主に退職したOB。若草にまじって前の年の草が枯れずに残っているのを古草という。これが青みを増して精気を取り戻すと、「駒返る草」となる。組織ぐるみの可能性が指摘される裏金づくりの闇を照らすのに、「駒返るOB」への期待は大きい。

▼もちろん、疑惑を自ら解明し、警察への信頼を回復するのは、OBではなく現役の責務。不正をなんとか覆い隠して、悪習の存続をはかろうという守旧派の古草も少なくないと指摘されている。萌(も)えいずる春の主役はあくまで新芽。古草は緑に味を添えるが、新芽の勢いはそがない。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040309MS3M0900P09032004.html