悪のニュース記事

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2004年03月05日(金) 00時00分

「地産地消」という。その土地の生産物を、その土地で消費する… 東京新聞


 「地産地消」という。その土地の生産物を、その土地で消費する。食物は特にこれがいい。「生産者の顔が見える」食物をいただくのである。これが天地の恵みというものだろう。自ら栽培し、自ら料理し、自ら頂戴(ちょうだい)できれば、これ最高▼作家の水上勉さんは、十数年前、病をえて三年間の入院生活の後、信州の里山に移り住んだ。小さな畑で野菜を作った。料理は得意の精進料理。若き日を禅寺で送った水上さんの料理魂がゆくりなくも甦(よみがえ)ったのである▼いま世にもてはやされる精進料理は、もと僧院のものだが、食を供することは修行の最たるものと重んぜられた。典座(てんぞ)とは、禅寺で食事をつかさどる役僧のことだが、重要な職とされている▼水上さんは、この暮らしを通して、人間にとって、食べることとは何かを、しみじみと考えたのである。粗食の良さもよく分かった。「菜根咬(か)み得ば、百事なすべし」の『菜根譚』の言葉も納得である。水上さんには、ここでの献立をまとめた著書『精進百撰』(岩波書店刊)がある▼最近世間では、日常の食材をもとめて、産地直送の野菜や魚類、名産品を手に入れている家庭が増えた。なかには産地を直接訪れて、生産者と親交を結んでいる人もある。ここまでくれば「生産者の顔が見える」食材である▼このところ、BSEや鳥インフルエンザで、安心して食べられるものが少なくなってしまった。これも、よく分からない遠い土地から食物を得ているからではなかろうか。食事の基本「地産地消」を噛(か)みしめたいものだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20040305/col_____hissen__000.shtml