2004年03月01日(月) 00時00分

住基ネット「個人情報改ざん可能」　県が実験結果を報告 （東京新聞）

　住民基本台帳ネットワーク（住基ネット）の安全性を検証するため、県内三町村で侵入実験を実施した県は二十九日、市町村管理のネットワークにいくつかの脆弱（ぜいじゃく）性が見つかり、個人情報の改ざんが可能とする最終結果を、同日県庁で開かれた県本人確認情報保護審議会で明らかにした。今後は、県が整備を進めている高速情報通信ネットワークの利用など、より安全なシステムづくりに向けて検討を進める方針。

　最終結果では、市町村が住民の戸籍などを管理する既存住基サーバーや、住基ネット本体と橋渡しするコミュニケーションサーバー（ＣＳ）などに侵入でき、「データの書き換えが可能で、そのデータが住基ネットを経由して流通する可能性がある」と指摘した。実験では、インターネットから庁内ＬＡＮ（構内情報通信網）に侵入することはできなかったが、市町村によってシステムの運用状態が異なるため「危険性は否定できない」としている。

　実験結果を第三者として評価した伊藤穣一氏（総務省住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会委員）も「ＣＳや既存住基サーバーを支配することは可能で、住民の記録を編集したり消去したりすることができる」と、危険性を認めた。この最終結果を受け、県は、複数の市町村で運営する共同センターの構築や高速情報通信ネットワークの利用などについて、市町村と協議しながら検討していく考えだ。さらに▽市町村担当者向けのセキュリティー研修会▽市町村の必要に応じた庁内ＬＡＮに関する相談や運用のアドバイス−などを実施。三月上旬には、市町村に対する実験結果説明会を県内二カ所で開き、六月上旬に担当者研修会を開く予定。

　松林憲治・県経営戦略局長は、総務省や他の都道府県との共同侵入実験の実施を、同省に求めていく考えを示した。

　　（中沢　稔之）

http://www.tokyo-np.co.jp/00/ngn/20040301/lcl_____ngn_____000.shtml