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2004年02月26日(木) 02時11分

2月26日付・読売社説(2)読売新聞

 [個人情報流出]「企業自身を危うくする甘い管理」

 個人情報の漏れ方も、高速で大容量だった。

 ソフトバンクグループが運営するブロードバンド通信サービス「ヤフーBB」の加入者情報が流出した。

 四百七十万人分の情報をもとに同グループを脅した三人組と、「百万人分の情報を持っている」とした愛知県の男が、相次いで警視庁に逮捕された。

 それぞれ違うルートから個人情報を入手したと見られる。ずさんな情報管理には驚くばかりだ。

 ソフトバンクグループは、情報の漏洩(ろうえい)ルートの解明で捜査当局に協力し、再発の防止に努めなければならない。加入者がメールアドレスの変更を求めた場合には直ちに対応するなど、被害が広がらないよう、万全の対策を打つべきだ。

 コンピューターに蓄積された個人情報が、大量に漏出する事件が、続出している。信販会社、消費者金融、コンビニエンスストア、エステティック会社など、業種を問わない。

 エステ会社の事件では、アンケートに答えた顧客の個人情報が流出し、顧客に迷惑電話や迷惑メールが殺到した。

 米国では、約三万人分のクレジットカード情報を盗み、銀行口座から預金を吸い上げていた男が逮捕されている。被害額は二百七十万ドル以上という。

 「ヤフーBB」は、加入者の氏名、住所、メールアドレスと、クレジットカード番号などの信用情報を別々に扱い、後者はより厳しく管理していた。

 今回、流出したのは住所などにとどまるが、信用情報も安全が徹底されているか、入念にチェックする必要がある。

 個人情報は、インターネットの不正アクセスによっても流出する可能性がある。京都大学の研究員が、ソフトウエアの欠陥を突いて著作権保護団体のホームページに侵入し、不正アクセス禁止法違反などで逮捕されたばかりだ。

 「ヤフーBB」では不正アクセスの形跡がなく、内部からの漏洩が濃厚だ。

 厳しいリストラで従業員の忠誠心が薄らぎ、外部委託で社員以外の人物が重要な情報に接する機会が増えた今、職場の規律を保つのは容易ではない。

 それでも、個人情報を扱う企業は「情報の安全管理」に、全力で取り組まねばならない。情報流出の賠償などで倒産に追い込まれかねないからだ。

 来年四月から個人情報保護法の安全管理義務が、企業にも適用される。

 だが経済産業省は「今のところ企業の対応は一般に極めて甘い」と指摘している。企業は同法施行を待たず、情報の安全管理に穴がないか点検すべきだ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040225ig91.htm