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2004年02月26日(木) 00時00分

個人情報流出 原因を究めて公開に 東京新聞

 情報化時代にあって、個人情報の秘匿が守られないようでは安心した生活は営めない。情報を扱う企業や行政機関は、ヤフーBBの事件を肝に銘じて、徹底した再発防止に努めなければならない。

 インターネット接続サービス「ヤフーBB」から流出した個人情報は住所、氏名、電話番号などだ。クレジットカード番号など信用情報は含まれていなかったといわれる。

 だが、電話帳程度の簡単な情報でも、悪用しようという人間にとっては十分な価値を持っている。同窓会や社員名簿が売買の対象となっているのをみれば分かるように、ヤフーBBの顧客であれば少なくともインターネットに関心を持ち、通信販売などに抵抗感の少ない人であることが想像できる。

 情報は断片的でも、個人の社会的立場や所得、趣味などまで類推できる。電話勧誘やダイレクトメールのあて名として貴重なのはもちろん、各種の悪徳商法にとっても絶好の情報源だ。

 たとえば、身に覚えのないオンライン画像などの料金支払いの督促状を送りつける恐喝まがいの悪徳商法の相談が各地の消費生活センターなどで急増している。

 これも、流出した何らかの個人情報が悪用されていると考えられる。個人情報流出が恐ろしいのは、いったん大量に流出してしまうと、悪用を止める手だてがないことだ。今回の事件でも、容疑者は複数おり、情報は既にコピーされて出回っている可能性は十分ある。

 ヤフーBBは街頭と電話勧誘で大量の顧客を獲得した急成長会社だ。それが全顧客数に近い約四百六十万人分という大量のデータを流出させてしまったのは、情報を扱う上で甘さがあったというしかない。

 政府の住民基本台帳ネットワークにせよ、民間の各種サービスにせよ、すべて個人情報の秘匿が大前提となっている。これが守られないのでは、情報化時代そのものが成立しなくなってしまう。

 一連の個人情報保護法では罰則が定められ、過去には被害者による損害賠償請求の提訴もある。だが、いったん流出した後では被害の完全な回復は困難だ。

 情報管理の責任者は情報の暗号化や複数の幹部社員が暗証番号を打ち込まなければ大量の個人情報が取り出せないなど、なお工夫して、防止手段を強化せねばならない。

 ヤフーBBは恐喝未遂事件の被害者ではあるが、情報管理に手落ちがあった可能性は高い。原因を徹底究明し隠さず公開し、類似事件の再発防止に貢献する責務がある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040226/col_____sha_____003.shtml