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2004年02月21日(土) 15時11分

<法務省>不法滞在者情報をHPで呼び掛け 人権団体が中止要請毎日新聞

 不法滞在と思われる外国人について一般市民から情報提供を求める法務省入国管理局のホームページ(HP)が論議を呼んでいる。「推定25万人の不法滞在者を5年間で半減させる」政府目標を達成するため、手軽に通報できるようにして摘発を増やそうという試みだが、通報理由の欄には「近所迷惑」や「不安」の項目が並ぶ。人権団体から「確かな証拠もなく通報を奨励するのは、外国人への差別意識を助長する」と中止を求める声があがっている。

 このコーナーは入国管理局総合案内用HPに今月16日に開設された。「情報受付」を選択すると、情報入力欄が現れ、「(入管法)違反と思われる人を見かけた場所」や「国籍」「名前」「人数」などの項目を書き込む。「通報の動機」の欄は「近所迷惑」「不安」「違反者のために解雇された」などを、「業種」では「酒類提供飲食店」「建設業」などの項目を選択する。住居や勤務先が分かる場合は、在宅、出勤時間帯も入力する。

 通報者は匿名でも構わず、情報は20日までの5日間で200件を超えた。ネット上のニュースで紹介された20日夜には、一時アクセスできない状態になった。

 同局によると、入管当局にはこれまでも市民からの通報が手紙や電話で寄せられており、02年にはのべ約7万5000人に関する情報があったという。HP上での受け付けについて、同局総務課は「以前から『メールでの受け付けはないのか』と要望があり、各省庁がすべての申請を電子化する取り組みの一環でもある」と説明している。

 これに対し、アムネスティ・インターナショナル日本は20日、「違反とは無縁の理由が掲げられており、いたずらに外国人一般に対する漠然とした不安感、嫌悪感をあおっている」と中止を求める声明を発表。「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」などは同省に中止を申し入れた。同ネットの矢野まなみ事務局長は「日本人と外国人を分断し、日本社会が多文化共生と全く逆に向かってしまう」と懸念する。

 こうした抗議に対し、同局総務課は「人権侵害のつもりは毛頭ない」と話し、「今までも提供された情報をすべてうのみにしてきたわけではない。違反者と言われて調べてみたら日本人だったり、永住権のある外国人だったこともある。情報は慎重に取り扱う」としている。【磯崎由美】

 ▽刑法とプライバシーの問題に詳しい園田寿・甲南大教授の話 不法滞在は確かに違法で、摘発自体は進めるべきだ。だが、手段として好ましいとはいえない。匿名で通報して誤報だった場合、責任を負う人がどこにもない。外国人への漠然とした不安で通報する人も出るだろうから、適法に暮らしている外国人全体への偏見を助長する可能性もある。捜査は人権とのバランスを考えて行うべきだ。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040221-00001050-mai-soci