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2004年02月18日(水) 01時27分

大分でも鳥インフルエンザ、「風評怖い」養鶏業者困惑読売新聞

 大分県で死んだチャボが、鳥インフルエンザだったことが判明した。今回はペット用に飼われていた鶏だが、先月の山口県に続く国内での発生確認とあって、各地の養鶏業者は「感染予防に力を入れているところなのに……」と表情を曇らせる。国内では食用の鶏肉はすべて検査されており、加熱調理すればウイルスは死滅する。消費者団体などは、「風評に惑わされないように」と冷静な対応を呼び掛けた。

 ◆地元の当惑◆

 大分県は郷土料理の「とり天」や空揚げで知られている。地鶏の炭火焼きなどを出している大分市内の料理店経営者(56)は「今回はペット用だというので感染拡大については、それほど気にしていない。提携している養鶏農家が移動制限区域内にあるので、今後の仕入れをどうするか検討しなければ」と話す。

 感染したチャボが見つかった九重町の隣、湯布院町のレストラン経営者(53)も「うちでは鹿児島産の地鶏を使っているが、風評被害が怖い。鶏肉の価格がさらに上がることも心配だ」と困惑していた。

 隣の熊本県でも6町村が移動制限区域の対象となった。ブロイラー約3万羽を飼育している同県内の男性は「風評被害が出れば死活問題だ。感染経路が分かれば、防ぎようもあるのに」と嘆いた。

 ◆業界・店頭◆

 岡山県笠岡市で180万羽を飼育する養鶏会社「坂本産業」の坂本修三専務は「半径30キロ圏内で感染例が見つかれば出荷できなくなる」と不安そうだ。業界団体・日本養鶏協会の島田英幸専務理事も「食べ物を介して感染する可能性はほとんどないことを消費者の方々に理解していただきたい」と話した。

 もっとも、大手スーパー「イトーヨーカ堂」(東京・港区)によると、BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)で牛肉の売り上げが4割も落ち込んだのに比べれば、極端な鶏肉離れは起きていないという。日本消費者連盟の水原博子事務局長は、「ウイルスは中心部が70度以上になるよう加熱すると死滅する。心配ならきちんと調理して食べればいい」と、過剰な反応をしないようアドバイスしている。

 ◆関係省庁◆

 農水省では、19日に予定されている山口県での卵や鶏肉の移動制限解除に向け、18日に開かれる鳥インフルエンザ対策本部の会合準備に入ったばかりで、担当の衛生管理課は1日中、大分県などとの連絡に追われた。栗本まさ子課長は、新たな発生について「個人的には残念だが、予想出来なかった事態ではない。県と協力してしっかり対応を取る」と話した。

 国内では食鳥検査法に基づき、食肉用の鶏は1羽ずつ検査を受けており、厚生労働省監視安全課は「感染した鶏が流通するとは考えづらい」としている。内閣府食品安全委員会も、鳥インフルエンザが食品を通じて人に感染する可能性は極めて低いと指摘している。

 ウイルスを持っている生きた鶏と接触した場合、フンやツバなどを通じて感染する可能性がある。国立感染症研究所は「ペットの鶏に異常があった時は、保健所などに届ける必要がある」と注意を促している。

 ◆山口にも衝撃走る◆

 鶏や卵の移動制限の解除を目前に控えている山口県でも、大分での発生に衝撃が走った。

 山口県防疫対策本部の清弘和毅(きよひろ・かずとし)本部長(県農林部長)は大分での発生を聞き「ようやくここまで来たのに、ショックです」と言葉を詰まらせた。「全国の養鶏農家、消費者への影響が心配です」と話し、「(大分県に)求められれば、できる限りの支援をしていきたい」と述べた。

 この日、山口市内で開かれた鶏卵の支援策説明会に出席した同市の養鶏場の役員(53)は「大分県の発生場所近くには知り合いの養鶏農家がおり、山口での発生時に励ましてもらった。感染ルートは分からないが、鳥を飼っている人すべてが防疫対策を徹底しなければ」と話していた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040217ic25.htm