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2004年02月13日(金) 13時16分

社説1 首相は独禁法改正の公約に責任を持て日経新聞

 公正取引委員会が検討中の独占禁止法改正について一部の議員や経済界などから反発が強く、今国会への法案提出を危ぶむ声もある。経済活性化へ競争促進策の効果は大きい。だが小泉純一郎首相は「今国会への提案は努力目標」と言うのみだ。

 「小泉改革宣言」と銘打った昨年秋の選挙公約には「自由な経済活動を保証し、企業の国際競争力を強化する観点から」独禁法改正案を今年の国会に提出するとある。首相はこの公約に責任を持つべきである。

 法改正案は2本柱。談合などの取り締まり強化策として行政処分である課徴金の引き上げや「自首」した企業への課徴金減免措置の導入などを実施する。もう1つは通信、電力など公益事業への新規参入妨害を早くやめさせる制度の創設である。

 建設業界の中には、利益率の低さを理由に課徴金引き上げに反対する向きもあるが、それは「経営が苦しいので談合を認めよ」と言うのに等しい。談合など不正をなくすのは当然だし、多すぎる建設労働者を福祉などニーズの高い分野に誘導するためにも競争促進策は必要だ。

 公益事業への新規参入促進では、電力事業なら電線、通信事業なら通信回線など事業に欠かせない施設(不可欠施設)を決め、それを持つ主要な企業が新規参入企業に施設を使わせないなど妨害したときは、すぐに差し止めるのが公取委の案だ。

 公益事業の規制緩和が進んだはずなのに新規参入を阻む行為は絶えない。2000年12月にNTT東日本は加入者回線網にインターネット接続会社が接続するのにあたり不当な条件をつけ接続を遅らせたとして公取委から警告を受けた。翌年12月には同社とNTT西日本が非対称デジタル加入者線(ADSL)のサービス提供で、必要な機器の取り換え工事を自社の顧客には無料で、新規参入企業の顧客には有料で実施していたとして警告を受けた。

 昨年末にはNTT東日本が光ファイバー回線を他の通信事業者に貸す際の料金より実質的に低い料金で自社の顧客にサービスしていたとして排除勧告を受けた(同社は応諾拒否)。顧客を囲い込もうとした電力会社への警告を含め、これらの事例は氷山の一角という声が多い。

 既存の大手企業は「新制度は事業法の規制との二重規制になる」と反発する。だが公取委が警告したとき何の行動もとらなかった官庁もあるように事業法の運用は既存の大手企業に甘くなる傾向がある。公取委が不正を厳格に、かつ早く取り締まれるよう独禁法を改めるのは当然だ。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20040213MS3M1300V13022004.html