悪のニュース記事

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2004年02月11日(水) 00時00分

行き過ぎなのでは 東京新聞

 足首を痛め二カ月余り入院した。中規模の病院だったが、手足を骨折したり腰を痛めて入院する人が引きも切らず。それも中高齢者を中心に、であった。

 私も、その一人。なのに「えっ! こんなにも」と正直、驚いた。

 社会の高齢化に伴い膨らむ医療費。やむを得ぬケースがほとんどとは思う。

 だが入院中、検査や投薬、入院期間に少し行き過ぎでは、と感じた例がままあった。

 老人医療枠で入院していたTさん。痛めた腰もよくなり杖(つえ)なしで歩けるまでに−。診断は「退院して結構」。だが連絡しても、一緒に暮らす息子夫婦は迎えにこない。

 放っておかれた末の迎えは二週間後。その間、Tさんは痛み止め薬をのみ、鎮痛用の湿布を張り続けた。

 N氏。一人暮らしで七十歳に近い。就寝時足腰に激痛が走ったとかで救急車で来院。レントゲン検査と点滴で一夜を明かした。

 翌朝。「痛みは消えた」と外出し体調は良と見えた。でも念のためと画像診断装置(MRI)で検査。結果は特記なし。四日ほど寝起きし帰宅したが、看護師の話では同病院の「リピーターさん」。

 自宅で大腿骨(だいたいこつ)を折ったFさん。手術後リハビリをいわれながら手足のしびれを訴えて終日ベッドに。その分薬種・量が増え排尿まで看護師頼みとなった。

 私の住む市でも医師に過剰な検査・投薬の自粛を、住民には不要な治療を控えるよう呼びかけている。無駄な出費を抑えるために。

 三つの例はどうだろう。患者の心構えや家庭事情、医師の良心も複雑に絡むだけに答えは出しにくい。まして線引きなど無理な話。

 となると意識の高まりを待つしかないのだろうか。 (鈴木邦夫)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ronsetu/20040211/col_____ronsetu_000.shtml