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2004年02月11日(水) 01時41分

2月11日付・読売社説(1)読売新聞

 [刑法改正]「時代の変化が求める刑罰強化」

 治安の急速な悪化を受け、約百年ぶりに刑法が大改正されることになった。

 政府は、凶悪・重大な犯罪について、有期の懲役刑の上限を三十年に引き上げるなど、刑罰の強化を柱とする刑法改正を、法制審議会に諮問した。

 政府が昨年暮れに決定した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」の一環だ。今秋にも法制審の答申を受け、早ければ年内に改正案をまとめる。

 明治時代の刑法の制定当時から、時代は大きく変わっている。外国人犯罪の多発をはじめ、犯罪は国際化、凶悪化し、殺人、強盗、婦女暴行などの重要犯罪は、過去最悪を更新し続けている。

 刑期を考える尺度にもなる平均寿命も、制定当時の男女とも四十四歳から、男性七十八歳、女性八十五歳に飛躍的に延びている。

 刑法を時代に合わせて見直し、凶悪・重大な犯罪の刑罰を強化することは、急務である。

 抜本改正は一九七四年にも試みられたことがある。この時は、法制審が全面改正を目指して、刑罰の強化を含めた改正刑法草案を答申した。しかし、日本弁護士連合会などが刑罰強化などに強く反対し、政府は立法化を見送った。

 もはや、こうしたことを繰り返している時間はない。

 現行の刑法の懲役刑は、無期刑と有期刑に分けられ、法が定める有期刑の上限は懲役十五年とされている。同一人が複数の犯罪を犯す併合罪の場合などは「処断刑」として、有期刑の上限を超えて加重できるが、二十年が限度だ。

 政府が法制審に示したたたき台は、有期刑の上限を「二十年」、処断刑を「三十年」に引き上げることを目指す。

 殺人罪や傷害罪、強姦(ごうかん)罪などの法定刑の罰則も強化し、集団による婦女暴行に対しては「集団強姦罪」の新設も提案している。

 公訴の時効期間は、死刑にあたる罪については、現在の十五年を二十五年に延ばす。平均寿命が延び、被害感情も長く残る時代だ。当然だろう。DNA鑑定などを活用する科学捜査で、証拠の長期保全も可能になっている。

 明治生まれの刑法に対しては、「財産に対する犯罪に比べて、個人の自由や生命にかかわる犯罪の法定刑が軽すぎる」との批判はかねてから強くあった。

 こうした刑のアンバランスの是正をはじめ、見直すべき課題は多い。そのなかでも、凶悪・重大犯罪についての刑罰強化は第一に手をつけねばならない。刑法全体の改革の重要な第一歩だ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040210ig90.htm