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2004年02月10日(火) 03時07分

薬害エイズの安部被告、病気で「判断能力なし」の診断朝日新聞

 薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われ、一審は無罪判決となった帝京大元副学長・安部英(たけし)被告(87)の控訴審で、東京高裁(河辺義正裁判長)が医師に嘱託していた精神鑑定の結果が明らかになった。それによると、現在の安部元副学長には「物事の善悪を判断する能力がない」と診断された。同高裁は近く、この鑑定に基づき、公判を停止するかどうかを決定する。

 裁判所関係者が元副学長の病状を確認して慎重に判断するとみられる。公判停止になれば、97年3月の初公判以来7年近くにわたった裁判は、元副学長の最終的な刑事責任が確定しないまま事実上終結することになる。

 関係者によると、安部元副学長は昨年、心臓病の持病で入退院を繰り返すうちに精神状態も悪化。通常の会話もできなくなったため、弁護側が同年11月に公判停止を申し立てた。12月に精神鑑定の実施が決まり、元副学長は入院のうえ慶応大病院の医師の鑑定を受けた。その結果、現在は事実上、意思疎通がほとんど不可能な状態だと診断された。

 刑事訴訟法は、被告が心神喪失状態に陥り、刑事裁判を続ける能力がなくなったときは公判を停止しなければならないと規定しており、裁判所がその決定をする。

 元副学長は85年、血友病患者にHIV感染の危険がある非加熱製剤を投与し続け、その後エイズ発症により死亡させたとして起訴されたが、一審・東京地裁で無罪判決を言い渡された。これを不服とした検察側が控訴。同高裁での審理は証拠調べが終わっており、最終弁論を残すだけだった。

(02/10 03:07)

http://www.asahi.com/national/update/0210/006.html