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2004年02月06日(金) 03時02分

<融資詐欺>背後に偽造集団の影 全国で被害計20億円毎日新聞

 「中小企業向け無担保ローン」をめぐり、偽造決算書や納税証明書を使って融資を引き出す詐欺集団が暗躍している。警視庁は4日、経営コンサルタント業者ら4人を詐欺容疑などで逮捕したが、他にも複数のグループを確認しており、被害は全国で五十数件、総額20億円にも上る。中には融資話を持ちかけ、手数料をだまし取るケースもある。ある詐欺グループの手口を追った。

 「金が必要なら簡単に出るいい話がある」。資金繰りに困っていた千代田区の機器メーカー社長に誘いの電話があったのは、昨年夏だった。指定された同区内の喫茶店にいたのは、80歳過ぎとみられるベレー帽の男と中年のブローカーの男。中小企業の経営者らしい男性5、6人が書類を抱えて順番を待っている。

 ベレー帽の男は「税理士」の名刺を差し出した。社長は赤字の決算書のコピーを渡し「赤字じゃ、どこの銀行も融資してくれない」と訴えた。ベレー帽の男は「これなら大丈夫。2、3日で出るわ。銀行トップに話が通じるから」と言い、「赤字の決算書を黒字に改ざんする」と手口を明かした。「そんなことができるのか」と尋ねると、「休眠会社を使って2行から計約3500万円の融資を引き出したこともある」と「実績」を強調した。

 社長は2行から計4000万円の融資仲介を頼み、その場で1行当たり3万円、計6万円の手数料を払った。3期分の偽造費用66万円と、融資額の10%の成功報酬を渡す約束もした。

 「書類が足りない」と言われ、同じ喫茶店に何度か足を運んだが、そのうち連絡が取れなくなった。名刺の事務所には留守番の女性事務員1人がいるだけで、男の行方は今もつかめていない。

 国税庁は1都5県の銀行から、無担保ローンに必要な納税証明書の偽造書類約70通を発見し、昨年11月から順次、有印公文書偽造容疑で警視庁に告発していた。コピーすると「複写」の文字が浮かび上がる偽造防止対策も施された精巧なものまであった。警視庁は背後に大掛かりな偽造集団がいると見て捜査を進めている。【立山清也、三木陽介】

 ■ことば(中小企業向け無担保ローン) 中小企業への貸し渋り批判や、金融庁が公的資金投入行に中小企業向けの融資拡大を求めているため、大手銀行が相次いで商品拡大を進めている。財務データをコンピューターで評価するなど審査を簡略化し、大手4行は03年度で計約1兆円の融資を見込んでいる。書類審査のみで業歴2年以上、税金が未納でないことなどが条件。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040206-00000137-mai-soci