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2004年02月06日(金) 06時29分

女子大生のHP見て恋心 新潟大立てこもりの米国人学生朝日新聞

 新潟大学工学部で、昨年暮れに起きた立てこもり事件をきっかけに、同大の学生のホームページ(HP)が消え始めている。逮捕された米国人の男子学生(23)が「HPで女子学生の写真を見て会いたかった」と動機を供述したからだ。米・シアトル市から新潟市まで約8000キロ。飛行機、車を乗り継ぎ、やってきた。ネット社会で起きた思わぬ事件に、大学はHPの掲載内容に関するルールづくりを検討し始めた。

 この女子学生は、工学部に在学していた。研究室のHPに、個人のページをつくり、自己紹介や学生生活の写真、日記、メールアドレスを掲載していた。

 事件があったのは昨年12月19日午後。この女子学生が所属する研究室に短刀を持った米国人の男子学生が立てこもって叫んだ。「彼女に会わせろ。でないと、指を切る」。教授が説得し、事務室に連れて行った後、男は逮捕された。

 男はかつて日本に住んでいたが、女子学生と面識はなかった。新潟西署の調べに、男は「昔つきあっていた女性と同じ名前を検索したら、彼女のHPを見つけた。かわいくて、ぜひ会いたいと思った」と話したという。

 男がHPを見つけたのは12月の初め。8日までにシアトルから3通のメールを送った。翌9日、東京に来て数日滞在した後、事件前日の18日に新潟市へ。この間も4通のメールを送っている。女子学生が無視していると、「なんで返事をくれないんだ。なぜ会ってくれない」と内容はエスカレートしていった。そして事件が起きた。

 驚いたのが大学だ。情報の発信や収集に、これまで積極的にネットを使ってきた。教員の一人は「便利さとともに、危険が伴うことを改めて思い知らされた」と話す。

 事件後、大学の掲示板に、個人のHPの内容に注意を呼びかける紙が張られた。個人のHPを自主的に削除する学生も相次いだ。

 また、工学部は危機管理の検討委員会をつくった。学生のHPに顔写真、メールアドレスを盛り込まないことや、大学のHPにリンクさせず、身元を特定できないようにするなどの措置も検討している。

 ただ、個人が作成するHPに大学がどこまで関与するべきなのか、教員らの悩みもある。仙石正和・同学部長は「一律に規制するのも難しい。必要性とリスクを考えながら判断していくしかない」と話している。

   ◇

 〈情報セキュリティーに詳しい田淵義朗さんの話〉 ネットから個人を特定され、メールを送られたり、つきまとわれたりするネットストーカーの被害は、女性を中心に増えている。HPでいまだに学生の写真を掲載している大学や高校は多く、同種の事件が他で起こっても不思議ではない。学校が扱う個人情報で、安全面に配慮を欠くケースも目立ち、早急な見直しが必要だと思う。

(02/06 06:29)

http://www.asahi.com/national/update/0206/009.html