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2004年02月05日(木) 12時16分

<米BSE>食用牛全頭検査の必要性を否定 米専門家委の報告書毎日新聞

 【ワシントン和田浩明】米農務省がBSE(牛海綿状脳症)対策で設置した国際専門家委員会が4日、勧告をまとめた報告書を提出した。米国産牛肉の輸入再開のため日本が求めている食用牛の全頭検査は「人間、動物双方の保護の観点からは正当化されない」と必要性を否定。歩行困難や感染が疑われる症状がある2歳半以上の危険な牛の全頭検査を勧告し、この検査を実施すれば「国内や貿易相手国の信頼を得るのに十分」との見解を示した。

 一方で、専門家らは米国でのBSE感染の拡大可能性も警告した。ロイター通信によると、アーリック・キム委員長(スイス)は報告書を提示した農務省主催の会合で、米国でのBSE発生率に関し「毎月1頭もあり得る」と主張。米ミネソタ大のウィリアム・ヒューストン委員も「さらに2〜3例発見されても驚かない」と語った。

 報告書も、これまでカナダや欧州から感染牛が輸入された可能性を指摘。その上で、BSE感染源とされる「特定危険部位」の食用、飼料への使用禁止の対象は、脳や脊髄(せきずい)について、現行の2歳半以上の牛から、1歳以上にするなど範囲を拡大するよう勧告した。

 ◇従来どおり全頭検査求める方針 日本政府

 米国のBSE(牛海綿状脳症)発生についての国際専門家委員会の報告は、米政府に対して安全対策の拡充を求めたものの、日本政府が米国産牛肉の輸入再開の条件として求める全頭検査には否定的な見解を示した。政府は従来通り対日輸出分の全頭検査や、脳や脊髄(せきずい)など危険部位の除去徹底を求める方針だが、米国は11日のゼーリック米通商代表部(USTR)代表と亀井善之農相との会談などで、今回の報告を根拠に改めて全頭検査は不要だと主張する公算が大きく、両国の溝が深まる懸念もある。

 専門家委の幹部は、米国内でのBSE感染再発の恐れも警告するとともに、報告書では、米政府が昨年末に発表した、歩行困難牛の食用禁止や、2歳半以上の牛の特定危険部位除去、BSE検査頭数の2万頭から4万頭への拡大などの対策では不十分との認識を示している。

 日本政府も既に先月19日の訪米調査報告で再発の懸念を強く指摘しており、今回の報告書は日本の主張を補強する形になるため一定の評価をしている。ただ、安全対策の拡充について、日本が求める水準とはまだ開きがあり、米側が報告書の勧告通りに対策を拡充しても不十分だという立場を取っており、米国産牛肉の禁輸措置が長期化するのは確実な情勢になってきた。【上田宏明】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040205-00001038-mai-bus_all