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2004年02月04日(水) 12時39分

社説1 この一歩から行政訴訟改革進めよう日経新聞

 国や自治体を訴える大企業が増えている。大手銀行が東京都を相手に銀行税訴訟を起こしたほか(後に和解)、森ビルが議員宿舎建て替えの業者選定の取り消しを、新電電5社がNTT接続料の値上げ認可の取り消しを求め行政訴訟を提起した。行政の行為で権利を侵されたと考えたら裁判で争うという意識が、経済界にも広がってきた表れといえよう。

 そのような国民の権利救済を後押しする行政訴訟の改革が進んでいる。政府の司法制度改革推進本部は、2日の顧問会議で行政訴訟制度の改革案を了承した。42年ぶりに行政事件訴訟法を大幅改正する法案が今国会に提出される。

 改革の第一の柱は救済される範囲の拡大である。接続料値上げ取り消し訴訟について、当時の片山虎之助総務相は「却下(門前払い)の可能性がある」と指摘した。値上げ認可を受けたのはNTTである。認可の対象でない利用者は不利益を受けるとしても訴える資格(原告適格)がないというのがこれまでの判例の考え方だ。利用者無視との批判が強い。そこで改革案は資格を広げる考慮事項を法律に盛り込むことにした。

 介護保険の申請拒否が違法であった場合その拒否を取り消すより給付を命じた方が国民の救済に役立つ。行政の違法な行為を事前にストップできれば、損害の拡大を防げる。三権分立の原則から行政への義務付け訴訟や差し止め訴訟を否定してきた考えを改め、認めることにした。

 土地収用の事業認定が違法と判断されても、既に道路などになっているともう是正がきかないとして請求は退けられる。そこで執行停止の条件を緩やかにしたり、仮の義務付け・差し止めといった仮の救済制度を新設したりすることになっている。

 行政訴訟制度が改革を迫られたのは、あまりに行政の都合のよい仕組みとなっていて国民の権利救済に役立たないからだ。だが、行政の役割が変わってきたことも見逃せない。

 国民の生命・健康を守るため規制権限を行使するという仕事から、多様な国民の利害を調整し、国民に利益を与える仕事が増えた。そのために行政指導や行政計画、通達といったソフトな方法が多用されている。これにも司法審査を及ぼさないと国民の権利は守れない。改革案では行政指導などについて違法であることを確認してもらう訴訟を用意した。これで十分かの評価は分かれよう。

 この改革は使いづらい行政訴訟制度に風穴を開ける一歩にすぎない。行政訴訟を担う人材の養成と法曹関係者の意識改革が求められている。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20040204MS3M0400D04022004.html