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2004年02月04日(水) 00時00分

超低金利時代の銀行は… ただの“金庫” 東京新聞

 利息の支払いが足りない。みずほ銀行がやってしまったミスだ。七万口座以上というから未払い分は巨額かと思いきや、一口座平均たったの十九円だ。これでは「不足分を返せ」という気力もわかないだろう。超低金利ワールドが続く中、もはや庶民にとって銀行は、金を保管するだけの「金庫」なのか。

 利払い不足があったのは、旧富士銀行店舗の期日指定定期預金などだ。合計で七万五百二口座にも上る。だが未払い利息の額は全部で百三十六万二千九百五十三円で、最高額でも千八百九十円だった。

 旧富士銀行に入行し、最近まで、みずほ銀行に勤めていた男性会社員に、騒動の感想を聞くと−。

 「利息がきちんと払われないとは…。聞いたことがない。銀行は預けていただいたお金を貸して、その利ざやで利益を生むのが本業だ。その中で生まれたお利息を払い忘れるなんて、信じられない」。元みずほ銀行員は、ため息をつきながら続ける。

 ■定期預金集めのノルマなくなり

 「短期市場の金利が実質的にゼロになった約四年前から、自転車に乗って一生懸命、課せられたノルマ分の定期預金を集めるということはなくなった。支店長も『定期預金取ってこい』と言わなくなっていた。客に頭を下げなくても、運用のためのお金は、低利で金融市場から引っ張ってこれちゃいますからね」

 さらに「今はデリバティブ取引で稼いだり、関連会社を活用して、会社のリストラをお手伝いするなどして手数料を稼ぐのが主力だ。上司からは運用実績の高い『投資信託を売ってこい』なんて命令される。客の預金は確かに金庫に入れた金のような扱いですね」とも。

 今回の利払い不足騒動について元行員は「昔は定期を客が中途解約すると、窓口で『待ってほしい』と説得した。今は客がよその銀行に移しても、そんなに抵抗感がない。インターネットなどで、解約手続きも簡単にできる。手続きのハイテク化と、銀行統合のシステム上の混乱があいまって、問題を引き起こしたのでは」と推測する。

 その上で「預金顧客が軽んじられる風潮はある。今回の問題は銀行全体のそうした雰囲気が影響している。本来なら、菓子折りもって各店の責任者が謝りにいくべき筋の話だ」と指摘し、客側に助言する。

 ■借金を一銭でも返すのが一番得

 「銀行、郵便局、会社にただ預金していれば利息がもうかる時代は、とうに終わった。小口のミニ株に投資するのも手ですが、一番確実なのは、今ある住宅ローンの繰り上げ返済です。借金を一銭でも返すのが、実は金利的に一番得な運用方法なのです」

 やはり銀行の“金庫化”はじわじわと進んでいるようだ。みずほ銀行の反省の弁は。

 同行の広報担当者は「旧富士銀行と旧第一勧業銀行の期日前解約利率がそれぞれ異なっており、統合の際、旧富士銀分を入力ミスしていた」と説明する。

 不足分の平均が十九円だったことについては「あくまでも未払い分の平均で、一概に低金利を反映したとは言えないのでは」としながらも「お客さまからのご預金は、信用度のバロメーターであり極めて重要な存在です」と低姿勢だ。

 さて銀行が本来の預金業務を軽視する中、生活防衛を念頭に置く女性たちからは、銀行への不信の声が相次いだ。

 年金アドバイザーの高橋希代子氏は「たとえ通帳のシミにしかみえなくても、金利はきちんと払われるのが当たり前だ。こんな根本的なところでミスがあると、ますます銀行が信用できなくなる」とあきれる。

 「そもそも銀行は、もっと顧客サービスに目を向けるべきだ。現金の引き出しはコンビニエンスストアで十分になっている。店舗に行く意味がまったくない。店舗でもっと丁寧な対応を心がけるなど、顧客を大切にしていることをアピールしないと、そのうち国民からそっぽを向かれることになる」

 経済ジャーナリストの荻原博子氏も「みずほ銀行は“初犯”ではない。それだけに不信感を呼び起こす」と一昨年のシステム障害を思い出しながら批判する。

 「そもそも今の超低金利だと、預金は金庫に入れておく程度の意味しかもたない。百万円預けても二十円程度にしかならない。ただ、銀行は一円未満を切り捨てているが、一つ一つは小さくても端数がたまるとかなりの額になるはずだ。端数分をどうしているのか、金利の一部である以上、はっきり説明する責任がある」と指摘する。

 ■“再犯”ゆえに不信感一層増す

 インターネットで家計簿を公開し、節約生活を紹介している主婦、坂本和江さんは「もし自分がみずほに口座を持っていたら、本当に許せない」と怒る。坂本さんは家計を見直し、年間に百万円以上の貯蓄を実践しているが「お金をためるのに、もともと金利はあてにしてませんから。保険を見直すなど、効果があることから始めるのが先決です」と断じる。

 一方、節約のアイデアなどを紹介した著作のある主婦の和田由貴さんは「定期性預金が満期になっても、利息なんて見ない。そんな微々たる数字をチェックしてもしょうがないから」と皮肉を込める。

 もはや、あまりの低金利に誰も「利息」そのものを期待していない状況だ。ところで「景気浮揚策」として打ち出された超低金利時代は、一体いつまで…。

 第一生命経済研究所の熊野英生主任研究員は「客から預かった預金が殖えるのが健全な経済だ。しかし、不良債権の処理などでロスが多くなった分だけ配当は目減りする。低金利はいかんともしがたい」とする。

 ■潤っているのは一部の輸出企業

 低金利の背景になっている景気の現状についても「景気が回復したといっても、もうかっているのは一部の輸出企業だけだ。日本国内は依然として景気は悪い。グローバル化した企業だけが恩恵を受けている状況です。金融機関の回復はずっと後になる」と厳しい見方だ。

 熊野氏は最近、金融機関に不満をもつ人々の意見を募ったという。

 「最初に発言した高齢者は『低金利が何とかならないか』と不満を述べたが、その後、給料削減や、リストラの不安を抱える会社員や主婦の悩みが圧倒した。もはや利息だけで生きていくのは夢物語だ。クビが珍しくない時代に、金利に対する不満自体が、もはや一番の悩みではない」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040204/mng_____tokuho__000.shtml