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2004年01月26日(月) 00時00分

規制改革 踏み込みが足りない 東京新聞

 規制改革が胸突き八丁にさしかかっている。その分、抵抗が激しく進み具合も遅い。昨年末の総合規制改革会議の答申に見たとおりだ。乗り切るには小泉純一郎首相に頑張ってもらうしかない。

 政府が規制の緩和・撤廃に取り組んでから、もう十年近くになる。その間、例えば航空事業では新しい会社の参入で運賃の値下げ競争が起こり、利用者利便を高めるといった成果を生んできた。

 内閣府によれば緩和に伴う値下がりなどで、これまでに国民一人当たり十一万円の利益があったという。数字どおりかはともかく、かなりの効果をもたらしたのは確かだ。経済の活性化にも結構役立っている。

 規制緩和は小泉内閣の掲げる構造改革の一つだ。だから首相が成果を誇りたい気持ちも分かる。でも十分などとは、とてもいえまい。

 肝心なところに邪魔な規制が残っているからだ。改革会議が一年かけて努力しながら進展の少なかった医療や農業などの分野に、である。

 そこに切り込んで、もっと実りのあるものにする。これからが改革の正念場だ。首相には頑張ってもらわなければならない。

 政府は昨年末の閣議で答申の尊重を約束した。答申にある一部医薬品のコンビニでの販売解禁、幼稚園と保育所を一緒にした総合施設の二年後実施などは、作成中の三カ年計画に盛り込むのは当然の話だ。

 さらに上積みできるか。首相の指導力や金子一義担当相のやる気が問われるのは、そこである。

 答申では「ゼロ回答」だった株式会社による病院や農業経営。役所と関連業界が手を組み激しく抵抗し先送りされた。利用者の側に立ってではなく、規制による権益を守ろうとの立場からの反対だった。

 関係省庁には再度、見直すよう促してほしい。そして緩和への道筋をつけるようにすべきではないか。答申はたたき台だ。計画を仕上げる三月末まで、時間は十分にある。

 もう一つ大きな課題は、役割を終える改革会議の後をどうするかだ。

 役所や業界の抵抗はもっと激しくなろう。その壁を崩し改革を推進するには最低限、改革会議のような組織が欠かせない。

 政府案では全閣僚参加の推進本部をつくる。並列して民間有識者の会議も置き意見を尊重するという。民間人会議が強い推進役を担えるようこの際、勧告権も与えたらどうか。

 人選も大事だ。規制の緩和・撤廃が進んだのは宮内義彦議長ら改革会議メンバーの尽力によるところが大きい。利害関係が薄く、意欲のある人たちの参加を求めたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040126/col_____sha_____002.shtml