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2004年01月22日(木) 00時00分

売買される実名口座 罪問えず「犯罪の温床」信濃毎日新聞

 複製したコンピューターソフトを違法にインターネットオークション(競売)で販売したとして、著作権法違反の疑いで長野中央署などに二〇〇三年十月に逮捕された都内の無職男二人は、販売代金の振込先として、事件とは無関係の第三者から買った実名の銀行口座を使い、捜査を難航させていたことが二十一日、分かった。口座を売り買いしただけでは罪は問えず、最近はこうした口座売買が横行。「おれおれ詐欺」の振込先にも使われるなど、犯罪の温床になっているとの指摘も出ている。

 東京都練馬区、洲鎌秀男(32)、渋谷区、田中雄一(32)の両容疑者=ともに起訴済み=は二十一日、ネット競売で三千四百万円余の利益を不法に得たとして、組織犯罪処罰法違反の疑いで長野地検に追送検された。

 調べでは、両容疑者はネットでソフトを売った相手の代金振込先として、五つの都銀口座のいずれかを指定した。これらの口座は両容疑者名義ではなかった。JR新宿駅前にいた「売人」から一口座三—五万円で買い、その場で通帳とキャッシュカード、印鑑、暗証番号の四点セットを渡されたという。

 両容疑者は、五つの口座を約半年ごとに順番に使っていた。ある捜査員は「口座を突き止めれば、すぐに容疑者を特定できると思ったが、口座の名義は別人で、次々に転売されていたため、特定が難航した」と明かす。

 インターネットの特定のホームページではいま、口座を「売ります」「買います」といったやり取りが盛んだ。都内の駅前などの路上では「銀行口座買わない?」と声が掛かることもある。

 中央署などによると、五口座のうち一つは、埼玉県内の会社員女性の名義。JR池袋駅前で「売人」の男から「三十口座を十万円で買う」と持ちかけられ、「バイト感覚」で、自分や子どもの名義で計二十四口座を開設し手渡した—と、捜査員に話している。

 二〇〇三年一月に施行された本人確認法により、銀行口座を開設する際、氏名や住居などのチェックが厳格になった。偽名を使っての口座開設は、有印私文書偽造罪に問われる。だが、実名で開設した口座の売買自体は禁止されておらず、県内の銀行関係者も「転売するために口座を作っているかどうかは、見極めようがない」と話す。

 捜査関係者は、売買された口座は、県内で発生し、お年寄りなどが被害に遭っている「おれおれ詐欺」の振込先や、ヤミ金融の集金にも利用されているとみるが、県警幹部は「悪用の実態は把握できていない」としている。

http://www.shinmai.co.jp/news/2004/01/22/008.htm