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2004年01月21日(水) 03時08分

雇用保険無駄遣い、職能校廃校で29億円施設取り壊し読売新聞

 厚生労働省所管の特殊法人「雇用・能力開発機構」(横浜市)が、関東職業能力開発大学校水戸短期校(水戸市水府町)を3月で廃校にするのに伴い、計約29億円を投じて建設した全施設を取り壊す方針であることが、20日わかった。

 中には、廃校する方針が決まった後の1998年に、3億8500万円をかけて完成したばかりの学生寮もあり、地元住民からは「雇用保険の無駄遣い」と批判の声が上がっている。

 同校は97年、当時の労働省が全国26の短期校を職業能力開発大学校などに再編成する中で、学生数の減少などの理由から廃校が決まった。現在の学生数は8人。

 全施設を取り壊すことになったのは、約2万9000平方メートルの敷地が茨城県有地で、県との賃借契約に基づき、12月までにすべての建物を壊し、更地にして返却しなければならないため。

 同機構によると、施設を県の職業訓練学校などに活用できないか、県と交渉したが、有効な再利用策が見つからなかったという。

 建物は、校舎9棟や延べ床面積約900平方メートルの体育館など15棟。雇用保険料や、事業主が積み立てた雇用安定資金などを主な財源とする労働保険特別会計からの出資金で、建設された。中でも学生寮(延べ床面積約1600平方メートル、62室)は真っ白な外観で、自動ドアの入り口などバリアフリー設備も充実している。廃校方針が決まった時には既に計画が進んでいて、そのまま完成された。

 近所に住む主婦(61)は「寮はぴかぴかで、アパートなどにも使えそう。本当にもったいない。きちんと計画を立てていたのか疑問だ」と憤慨。団体職員の男性(47)は「寮や体育館などをなんとか有効利用できないのか。雇用保険をどぶに捨てるようなものだ」と話していた。

 特殊法人に詳しい法政大学の五十嵐敬喜教授(公共事業論)は「勤労者福祉施設の投げ売りにも通じる財政展望と当事者意識の欠如を強く感じる。一度、機構を外部監査し、責任の所在を明らかにすべきだ」と話している。

 ◆雇用・能力開発機構=前身は旧労働省所管の雇用促進事業団。中小企業などを対象とした雇用相談、各種助成金の交付、職業訓練校の運営などを行う。特殊法人改革の一環で施設の処分が求められており、雇用保険で建てた勤労者福祉施設を大幅な安値で自治体に売却することに批判があがっている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040121-00000201-yom-soci