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2004年01月18日(日) 12時24分

社説2 財政再建、何ともはるかな道日経新聞

 財政再建を金科玉条とするのは誤りだ。だが今のように極端な財政赤字を続けると金利上昇を招き経済が大きな打撃を受ける。だから赤字圧縮は必要だが、それがいかに大変かを物語る試算を内閣府がまとめた。

 今週、閣議決定する「構造改革と経済財政の中期展望—2003年度改定」の参考資料によれば、国と地方を合わせた財政の基礎的収支(プライマリーバランス)は10年後の2013年度に黒字になるという。基礎的収支の均衡は「借金分を差し引いた歳入で、過去の借金の元利払いを除いた歳出を賄える」というほどの意味しか持たない。財政再建への第一歩にすぎないのである。

 しかも、その基礎的収支の見通しにあたり経済成長と財政改革について楽観的な前提を置いている。

 名目成長率は2006年度に2%台に乗せたあと徐々に高まり2008年度は2.9%、2013年度は3.7%になると予想する。それで税収が増え財政収支の改善に貢献するというシナリオだ。成長率が高まるのは構造改革の効果が表れるからというのだが、過去10年間平均の名目成長率が0.28%だった事実を考えると、現実離れした印象だ。

 財政改革では、基礎年金国庫負担比率の引き上げに伴う3兆円の増税以外は増税を考えない。国内総生産(GDP)に対する政府部門の比率を現状維持するよう歳出を削る。その内容は一部を除き厳しいものだ。例えば投資的経費は年々3%ずつ減らし続けるという前提だ。

 どの程度、増税するかにもよるが基礎的収支均衡は2013年度より後になる公算が大きい。だが貯蓄率低下も考えると、金利上昇を防ぐため赤字圧縮を進める必要がある。

 そのためには、まず経済を本気で活性化させることだ。規制改革や自由貿易協定(FTA)、科学技術開発などの政策は過去の発想にとらわれず思い切って進めるべきだ。

 一方、財政改革にも相当の力を入れなければならない。試算の前提に公務員の数を年々0.5%ずつ減らすとある。10年間で5%だが、破たん寸前の民間企業なら、この程度ではすまないはずだ。経済活性化と財政改革は車の両輪。どちらが欠けても全体がうまく回っていかない。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040118MS3M1800I18012004.html