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2004年01月14日(水) 03時04分

乳がん「温存療法」で不正徴収…大船中央病院読売新聞

 乳がんの乳房温存療法を巡り、神奈川県鎌倉市の大船中央病院(166床)が、手術の際、保険に含まれる費用の一部を患者から自費でも取る「二重取り」をしたり、保険診療と同時に行った保険外の検査で厚生労働省が認めていない実費徴収をしたりしていたことが13日わかった。

 病院側は不正な徴収を認め、患者に費用の返還を始めた。同病院は乳房温存療法の草分けとして知られ、全国から患者が集まるだけに、衝撃が広がった。

 病院側によると、乳がん手術の際、手術代とは別に、止血用クリップを「手術材料費」として患者1人あたり一律1万2000円を徴収していた。保険では手術材料費も手術代に含まれ、治療費の二重取りにあたる。

 さらに検査では、保険が適用されるホルモン検査に加え、保険外の遺伝子検査などを組み合わせて実施、患者から自費で徴収していた。検査は多い場合に3種類で、計3—4万円。厚労省は保険診療と保険外の自費診療を同時に行うことを禁じている。

 患者からの過剰な徴収は合わせて1人あたり4—5万円で、昨年11月までの1年間だけで259件あり、総額約1000万円にのぼるとみられる。病院側によると、少なくとも5年前から行っていたという。

 この病院では、乳房の一部をくりぬく乳房温存手術で、わきの下のリンパ節をとらない手法を導入しているが、リンパ節をとる手術と同じ26万6000円で保険請求していた。しかし、病院側は昨年12月、東京社会保険事務局などが指導している費用の10万4000円を請求するよう改めた。この手術は昨年、145件行われた。

 同病院の山科展宏理事長(72)は「患者にできる限りの検査や手術を行った結果、こうなったが、制度を正しく理解していなかった」と謝罪。手術費用の過剰請求については、「保険の審査機関の判断に従うが、差額分を患者に返還する方針」と話している。

 同病院では、国内での乳房温存手術の第1人者とされる外科部長が、慶応大放射線科の近藤誠講師と組み、94年から乳房温存手術を開始した。

 昨年12月、患者の1人が領収書の記載内容に不審を抱き、近藤講師に問い合わせて不正徴収が判明。同講師の指摘で、病院側は自費診療分の返還を始めた。

 外科部長は「検査費が病院の持ち出しになるのを避けるため患者に負担してもらった」と話している。

 ◆「実費徴収」他の医療機関でも◆

 保険診療費とは別途、患者から不正に治療費の実費を徴収する例は他の医療機関でも後を絶たない。保険の手術料は、高価な材料を使うなどしても一定で、その分、医療機関の収入が減るため、ツケを患者に回している構図がある。

 「最新の高価な機材を使うから」と、保険に含まれる使い捨ての手術器具代を別に実費徴収したり、在宅治療でもカテーテルやガーゼ代を徴収したりする例もある。このため厚生省(当時)は2000年、今回のような「手術に通常使用する材料代」など、実費徴収が認められない項目を通知したが、改善されたとは言えないのが実情だ。

 厚生労働省によると、手術材料費を手術費とは別に徴収することは、健康保険法上の「保険医療機関及び保険医療養担当規則」に違反している可能性がある。

 今回のケースについて、管轄の神奈川社会保険事務局が病院側から徴収の意図や理由などを調査し、必要があれば処分するという。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040114-00000001-yom-soci