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2004年01月14日(水) 06時30分

津軽リンゴ、ネットで発信 欧州に安全アピール朝日新聞

 国内需要が伸び悩む青森県産リンゴを欧州で売り込め——。津軽地方で生産や販売を手がける農業法人が、栽培の様子をインターネットの映像でいつでも見られる小型カメラを設置し、安全性に敏感な欧州の消費者に訴えて、市場開拓に取り組んでいる。欧州の小売業界が新たに導入した食品基準の壁にも挑み、新たな出荷先作りに懸命だ。

 雪で真っ白に彩られたリンゴの木が、パソコンの画面に映し出される。弘前市で農業法人「片山りんご」を経営する片山寿伸さん(43)方の敷地内にあるリンゴの木だ。

 映し出すのは、門柱に設置されたカメラ。海外の消費者らを念頭に、青森のリンゴがどんな風に栽培されているのか知ってもらおうと、昨年12月に取り付けた。カメラの向きは、パソコンから遠隔操作で自由に変えられ、栽培の様子が一目瞭然(りょうぜん)にわかる仕組みだ。

 「片山りんご」は正社員は5人しかいないが、97年産のリンゴの市場価格が生産原価を大きく割り込んだのをきっかけに、99年から英国への輸出を始めた。

 主力は青みがかった小玉の「王林」。日本では加工用として20キロ箱で50〜100円程度でしか売れないが、英国では、小ぶりで甘い最高級品として珍重されるため、農家から1000円程度で買い取って輸出した。これまでに計約80トンを出荷、約100万円の純利益を出し、「農家も含めて収入の底上げになった」(片山さん)という。

 ところが、欧州市場への輸出のハードルが高くなった。欧州の大手スーパーなどが個別に定めていた農産物の安全性の自主基準が「ユーレップ・ギャップ」として統一され、今年から適用されたためだ。片山りんごは昨春、新基準による審査を受け、05年以降の輸出に向けて、年内に農薬使用など約30の必須条件を満たすよう求められた。

 インターネットのカメラ設置は、こうした欧州市場の「食の安全」に対する意識の高まりを痛感したからだった。システムは、茨城県つくば市のコンサルティング会社などの協力で実現した。

 英国の商社に「動画が見られるインターネットのアドレスを書いたラベルをリンゴに張れば、お客さんは生産者の顔も現場も生で見られ、安心して買ってくれる」と、活用を売り込んでいる。

(01/14 06:30)

http://www.asahi.com/business/update/0114/023.html