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2004年01月13日(火) 16時11分

行き場失う牛の背骨 厚労省、農水省とも処分方法示さず朝日新聞

 牛海綿状脳症(BSE)の感染原因になる恐れがあるとして、2月から食品への使用を禁止される国産牛の背骨が、行き場に困っている。処分方法について、食品を管轄する厚生労働省が「牛の背骨は大豆の搾りかすと同じだから食品ではない」と所管外を主張する一方、農林水産省は「フグの毒部位に近いから管轄は厚労省のはず」とする説を支持して反発。ともに明確な方針を打ち出していないからだ。処理費用などの負担増が予想される業界からは「不法投棄されかねない」との声も上がっている。

 背骨は1頭当たり15キロ、年間約2万トン出るといわれる。Tボーンステーキや牛骨エキスなど調味料に使われたほか、主に肉骨粉の原料として、処理業者に1キロ約5円で売られる「商品」だった。

 ところが厚労省が2月から食品への、農水省が5月からエサ、肥料への使用を禁止する方針を決めたため、事実上、産業廃棄物となり、管理、輸送などの処分費用が業者の負担になる。しかし厚労、農水両省とも「使用禁止」としているだけで、今のところ処分方法に言及していない。

 厚労省の論拠は「大豆理論」だ。

 食品の大豆は厚労省の管轄だが、食用油を取った後の搾りかすは食べ物ではないから範囲外。今回の措置で牛の背骨も食品ではなくなるので、大豆の搾りかすと同じ。「背骨などからエサや肥料を作っていたのだから、農水省の守備範囲ではないか」という。

 「食肉処理段階できちんと処分するのが理想」とする農水省は、畜産業者の間でささやかれていた「フグ理論」を支持する。

 フグの毒部位について厚労省は「他の食品、廃棄物に混入しないよう施錠できる容器に保管し」「焼却等により確実に処分する」との「通知」を出している。牛の背骨も危険性を指摘するのならば、フグの毒と同じように厚労省で処分方法を明確にすべきだという。

 結局、農水省が、背骨をエサ、肥料に混入しない仕組み作りについて関係業界と話し合いを進めているが、処分方法についての結論は出ていない。

 ある食肉処理業者は、負担に耐えかねて、分別、管理しなかったり、不法投棄されたりしかねないと指摘した上で、「大豆でもフグでもいいので、費用の助成など処分についてはっきり決めてほしい」と話している。

    ◇

 【牛の背骨とBSE】 背骨の「背根神経節」にBSEの原因となる異常プリオンが蓄積する可能性があることがわかり、国際獣疫事務局は「食用とすべきでない」との指針を打ち出している。頭部や脊髄(せきずい)など特定危険部位に準じた扱い。特定危険部位は、食肉処理場での焼却処分を義務づけられているが、牛肉は背骨つきで取引されるため、流通体制への影響を考え、食肉処理場以降で処分される。(01/13 16:11)

http://www.asahi.com/national/update/0113/028.html