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2004年01月13日(火) 02時02分

1月13日付・読売社説(1)読売新聞

 [国民投票法]「憲法改正へ環境の整備を急げ」

 憲法改正に向けて、いよいよ具体的な環境整備に入る時に来た、と言っていいだろう。

 衆参両院の憲法調査会は、二〇〇五年初めの最終報告に向け本格調整に入る。

 昨年の衆院選では、自民、民主、公明の各党が政権公約で、「改憲」「創憲」「加憲」を掲げ、議席を伸ばす一方で、「護憲」を掲げた共産、社民両党は惨敗し、改正反対勢力が大きく後退した。憲法改正へ、国民の理解がますます深まり定着した。

 そうした中で、自民党は来年の新憲法草案策定に向け、今夏の参院選までに要綱をまとめる方針だ。民主党の菅代表も党独自の憲法改正案をまとめる考えを表明している。

 憲法改正が政治日程に上ろうとしている今こそ、改正の具体的手続きを定めた法律の整備を急がなければならない。

 既に、共社両党を除く超党派の憲法調査推進議員連盟が二〇〇一年にまとめた国民投票法案と国会法改正案がある。

 自民党の中川秀直・国会対策委員長は十九日召集の通常国会に二法案を提出する意向を表明した。自民党は、先の衆院選の公約や二〇〇四年運動方針案にも、二法案の早期成立を明記している。

 憲法改正や制定は、国民にとって最も重要な主権行使だ。そのための手続き法をいつまでも放置し続けるのは、政治の怠慢以外の何ものでもない。

 理解できないのは、議連に参加している公明、民主両党の対応だ。

 公明党は、二法案の成立を先行させると憲法論議を一定の方向にリードしかねない、などとして消極的だ。「加憲」の立場を表明しているが、焦点の九条をはじめ、現在の憲法自体の改正には極めて慎重な姿勢が背景にあるのだろう。

 これはおかしい。

 そもそも憲法改正の手続きを法制化することは、憲法改正の内容をどうするかとは関係がない。国民の主権行使に必要な法律を先送りし続けるのは、与党の責任放棄というほかない。

 同じことは民主党にも言える。与野党が真っ向からぶつかる対決法案でもないのに、民主党は徹底審議を求め、「対立軸」を示すという。

 二法案が成立し、具体的な改正論議に移ると、安全保障問題などをめぐる党内対立が表面化しかねず、早期成立は避けたい、という判断もうかがえる。

 国民の主権行使のために、与野党は党利党略を排して、「国権の最高機関」たる国会の原点に立ち返る責任がある。これ以上、政治が「不作為」を続けることは許されない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040112ig90.htm