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2004年01月11日(日) 06時34分

自動車保険の顧客情報「横流し」 スズキ系列販売10社朝日新聞

 軽自動車メーカー大手「スズキ」の系列販売会社約10社が、損保会社の代理店として顧客と取り交わした「自動車保険契約申込書」を、顧客に無断で別の損保会社に提供していたことが10日、分かった。契約申込書には生年月日や住所、保険料などが記載されていた。顧客が新規の保険に乗り換えた場合の保険料を見積もるのが目的だが、ある損保会社は他の自動車メーカーの系列販売会社からも提供を受けていた。その数は年間で数十社に上るといい、個人情報の「横流し」が常態化していたことになる。

 スズキによると、約10社は、車を売ると同時に複数の損保会社の自動車保険を扱う「乗り合い代理店」。顧客がいずれかの損保会社の保険に入ると、自動車保険契約申込書を取り交わしていた。

 契約申込書には、氏名、生年月日、車の型式、保険料の額、補償条件などのほか、保険料を口座振替にすると預金口座番号も記載される場合がある。顧客と損保会社以外に、代理店も控えを保管している。

 約10社のうち、スズキ自販近畿(大阪市)は昨年9月、損保ジャパン(東京)の保険に入っている顧客の契約申込書54枚を、保険の見積もり名目で日動火災海上保険(同)に提供。損保ジャパンには日動火災の契約申込書25枚を提供していた。いずれも同年11月に契約満期を迎える顧客のものだった。提供について、両社とも新規の顧客獲得が見込まれることもあり了承していた。

 損保ジャパンは日動火災の契約申込書に記載された個人データを「契約見込み客」の情報としてコンピューターに入力。日動火災の顧客が自社の保険に乗り換えた場合の保険料をはじき出していた。

 一方、日動火災は社員が損保ジャパンの契約申込書をカバンに入れて営業車内に一晩放置。営業車が車上荒らしの被害に遭ってカバンを盗まれ、保険の見積もりができなかった。

 スズキ自販近畿以外の系列販売会社では、最も早い社で02年5月から顧客に無断で契約申込書を損保会社側に提供し、保険の見積もりを依頼していた。提供総数は不明という。

 約10社は見積もりを顧客に示し、保険を乗り換えるように勧めていた。

 スズキの岡島有孝・広報グループ長は「顧客により良い保険を提案するために見積もりを出してもらっていた。約10社のうちスズキ自販近畿など数社には、損保担当社員の負担を軽くするため、車の販売拠点ごとに扱う損保を一つに絞る目的もあった」と説明。無断提供については、「損保会社には了承を得ていたが、適切でなかった。今後は顧客の同意を得るように指導する」と話している。

 日動火災広報室は「年間で数十社の自動車ディーラー代理店から他社の契約申込書を提供され、保険の見積もりをしてきた。ただ、他社の顧客情報は見積もり以外での利用はしておらず、コンピューターから消去している。現行法では違法ではないと考えているが、今後は見直しを検討したい」としている。

 内閣府の個人情報保護推進室は「顧客の同意を得ることが必要だった」と指摘している。

 05年春に全面施行される個人情報保護法は、個人データを本人の同意を得ずに第三者に提供することを原則として禁じている。

(01/11 06:33)

http://www.asahi.com/national/update/0111/007.html