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2003年12月08日(月) 07時17分

歩行者死亡事故減へ衝撃吸収ボンネット 車に義務化決定朝日新聞

 車にはねられた歩行者がボンネットに頭をぶつけて死亡する事故を減らそうと、国土交通省は保安基準を改正し、衝撃を吸収するタイプのボンネットの採用を義務づけることを決めた。計画では、モデルチェンジする乗用車などを対象に05年度から新基準を適用し、10年度にはすべての新車を対象にする。ここ数年、交通事故死亡者の約28%は歩行者で、うち約6割が頭部損傷が死因となっている。同省は新基準で、歩行者の死亡者数を約5%減らせると見ている。あわせて、同省は来春から、車体の衝撃吸収度を5段階で格付けして公表する。

 同省によると、新基準ではボンネットを細かく区切り、区分ごとに大人と子供の頭を模した器具をぶつけ、時速40キロで走行中の車のボンネットに当たった時に相当する衝撃値(HIC)を測定する。ボンネットの総面積の3分の2以上が1000HIC(死亡率約10%)以下、残る3分の1が2000HIC(死亡率45%)以下の車でなければ販売できなくする方針だ。

 国交省は「市販車の衝撃値の測定記録がないので単純な比較はできないが、新基準を満たすには衝撃値を半減する必要があるのではないか」と説明している。

 対象は10人乗り以上の大型車や2.5トン以上の貨物車を除くすべての車で、新開発車やモデルチェンジした車は05年度から、旧設計のまま販売を継続している車でも10年度には義務化するよう、自動車の安全基準を定めた道路運送車両法の保安基準を改正する。

 国交省が警察庁の交通事故統計データをもとに、ケガの部位などから「救命効果」を分析したところ、99年に交通死亡事故を起こした車が衝撃吸収ボンネットだったならば、大人114人、子供11人の計125人は死亡を免れた可能性があるという。

 自動車メーカーでも、衝撃吸収ボンネットの開発や実用化が進んでいる。マツダは今春発売した新車に、アルミ板を円錐(えんすい)形にくぼませ、全体がたわんで衝撃を吸収するボンネットを採用した。マツダによると、新型のHICは従来品の半分で、新基準も満たしているという。

 国交省によると、EU各国やアメリカでも05年度をめどに衝撃吸収ボンネットの義務化が検討されているという。

 国交省は今後、「歩行者保護」の政策を進める方針だ。来年3月にも、市販車の衝撃吸収度を5段階で格付けして公表する制度を実施、購入の参考にしてもらう考えだ。第1弾として、人気があるトヨタ「ハリアー」、ホンダ「インスパイア」、日産「ティアナ」など19車種を予定している。

   ◇

 <保安基準> 車の安全性などを確保するため車体の構造、各種装置の機能といった基準を明示したもので、道路運送車両法で定めている。新車は、保安基準を満たしていなければ販売が認められない。販売後に基準違反が見つかった場合、自動車メーカーはリコール(無償回収・修理)が義務づけられている。また、基準に違反した改造は車検で不合格になる。これまでは乗員の保護が中心だったが、国土交通省は歩行者に衝突した際の衝撃を吸収するバンパーの義務化など、歩行者保護を進めている。(12/08 07:07)

http://www.asahi.com/national/update/1208/007.html