2003年10月28日(火) 23時06分

警視庁警部を収賄で逮捕、情報提供見返りに１千万円（読売新聞）

　個人の犯歴情報を提供するなど便宜を図った見返りに、会社役員から計約１０００万円のわいろを受け取っていたとして、警視庁捜査２課は２８日、千葉県柏市逆井藤ノ台、同庁第９機動隊警部上野教一容疑者（４９）を収賄容疑で、東京都荒川区南千住、人材派遣会社役員石崎裕隆容疑者（４１）を贈賄容疑で逮捕し、両容疑者の自宅や第９機動隊庁舎（江東区）などを捜索した。

　調べによると、上野容疑者は、竹の塚署地域課長代理だった１９９９年９月、石崎容疑者の人材派遣会社で盗難騒ぎが起きた際、石崎容疑者の依頼を受け、同社社員の犯歴を照会し、情報を漏らすなどした。その見返りに、２０００年５月、現金２００万円を受け取ったほか、妻を同社の非常勤社員であるかのように装い、給与名目で同年４月から昨年７月まで毎月数十万円ずつ２９回にわたって妻名義の口座に振り込ませ、総額９９８万円を受け取った疑い。

　また、上野容疑者は９９年４月から昨年１１月にかけ、石崎容疑者が当時、関東近県で経営していた個室マッサージ店の営業を巡って、地元の警察署４署に、「石崎という者があいさつに行くのでよろしく」と電話したり、「ご指導お願いします」と添え書きした自分の名刺を持参させたりした。石崎容疑者のマッサージ店は風営法上無届けの違法風俗店だったが、上野容疑者はこれを認識しながら便宜を図っていた。

　２０００年４月には、石崎容疑者の乗用車をレッカー移動した警視庁管内の警察署の担当者に違反切符を切らないよう働きかけた。この結果、駐車違反は処分されなかったという。

　上野容疑者は９７年春ごろ、知人を通じて石崎容疑者と知り合い、「自宅を新築するので金が必要になる」などと話したという。

　上野容疑者は２０００年１０月に自宅を新築。その費用として計約５０００万円を警視庁職員信用組合などから借りており、わいろの使途について「自宅の新築資金や遊興費などに使った」と供述している。

　上野容疑者は７２年警視庁に採用され、９９年３月に警部に昇進。竹の塚署地域課長代理、第９機動隊中隊長を経て、現在は同機動隊本部付の訓練担当。警備部門での勤務が長く、右翼から街宣活動の予定などを聞き出す情報収集業務に携わったこともあり、当時の同僚は「相手の懐に入り込んで情報を取るタイプで優秀だったが、相手と癒着しやすい面もあった」と話している。

　久我英一・警視庁警務部参事官は会見し、「警察官としてあるまじき行為で遺憾の極み。おわび申し上げる」と述べ、頭を下げた。（読売新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031028-00000306-yom-soci