2003年10月24日(金) 12時04分

＜ヤミ金融＞上納先、山口組総本部を家宅捜索　警視庁など（毎日新聞）

　指定暴力団山口組五菱会による組織的ヤミ金融事件で、警視庁と５県警の合同捜査本部は２４日午前、出資法違反（高金利）容疑で神戸市灘区篠原本町４、五代目山口組総本部を家宅捜索した。捜査本部は、五菱会傘下のヤミ金業者が集めた違法な収益が、同会を通じて山口組総本部に上納されていたとみている。全国で多くの被害者を出したヤミ金事件は、日本最大の暴力団の総本部に対する強制捜査に発展した。

　家宅捜索は同日午前１０時５０分、警視庁の捜査員など２２０人態勢で行われ、午前１１時１５分に終了した。

　捜査本部は、昨年９月に五菱会系ヤミ金業者を摘発したのをきっかけに、同会の「ヤミ金ビジネス」の実態解明を進めてきた。延べ約５０人に上る店長や従業員に加え、同会系組員３人を逮捕。同会が傘下に複数のヤミ金グループを抱え、多重債務者に不法な高金利で貸し付けを行い、違法な収益を吸い上げる組織を作りあげていた実態を突き止めた。

　今年８月、「ヤミ金の帝王」と呼ばれ、この組織を統括していた同会の事実上ナンバー２である梶山進被告（５４）＝同法違反の罪で起訴＝を逮捕。同会や山口組総本部の組織的関与を知る中心的な人物とみて追及してきた。捜査本部は、梶山被告らが集めた数百億円ともみられる不法な収益の流れの解明には、今年８月の五菱会本部の捜索に続き、山口組総本部の強制捜査が不可欠と判断した。

　山口組総本部への捜索容疑となったのは、梶山被告らが経営していたヤミ金業者「エイトスター」（豊島区西池袋１）が０１年１０月〜０２年７月の間、札幌市の主婦（４７）に３０回にわたり、計２３万６０００円を貸し付け、法定金利の３３〜６３倍に当たる違法利息約８０万円を受け取った出資法違反容疑。

　五菱会は昨年１０月、前身の美尾組組長の引退を機に３次団体「陣内組」組長が地盤を引き継ぐ形で発足。捜査本部は、ヤミ金融で得た巨額の資金力で同会が２次団体に引き上げられたとみている。

　今後、山口組総本部からの押収資料の分析を進め、五菱会から総本部へのヤミ金資金の流れの解明を進める。【田中義宏】（毎日新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031024-00001045-mai-soci