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2003年08月16日(土) 00時00分

米・加大停電 何事も過信は禁物だ 東京新聞

 米国とカナダで起きた大停電は都市の機能をまひさせた。日本でも「首都停電」が心配されている時だけに決して人ごとではない。原因の分析は当然だが、起きた際の対応も考えておきたい。

 停電が発生したのは、主要都市を含む米国・カナダの東部だった。

 ニューヨークでは、地下鉄が止まる。信号機も作動しない。搭乗手続きのできなくなった空港は飛行機の発着を止めた。街の大通りは普段と様変わりし、動かない自動車と帰宅を急ぐ歩行者で埋め尽くされてしまった。

 都市機能の完全なまひであり、人々の暮らしの大混乱である。電気をライフラインとしている生活のもろさを如実に示したといえよう。

 そのニューヨーク。二十六年前にも最長二十五時間にわたる停電があったという。早く正常な状態に戻ってほしいが、なぜ、こんな大規模な停電が一斉に起きたのだろう。

 発電施設への落雷と火災、過大な電流が一時に流れたことによる送電システムの故障などが伝えられてはいる。が、はっきりしない。

 幾つかの要因が重なったのだろうが、私たちの暮らしも電気に依存している。大都市圏で、同じような停電の起きる心配も消えていない。それだけに、自分たちの問題と受け止める。それが大事ではないか。

 何らかの理由で、数カ所の発電施設が停止する。あるいは送電網の具合が悪くなったとしよう。電力会社の話では、日本の場合、一部の地域ならともかく、広範囲に一斉停電という事態は考えられないという。

 送電網の多重化などさまざまな事態を想定、電気を送る仕組みをつくり上げているからという。そうとは思う。でも安心し切ってよいのか。

 理由は違うが、原子力発電所の記録隠しで、一時、首都大停電の悪夢が走った。電力の自由化も進む。今回の大停電の原因が確かになった時点で、電力業界にはいま一度、安定供給の仕組みの総点検を求めたい。

 もう一つ。暮らしの中の「電気」の役割を見つめ直し、事が起きた時の対応を考える機会としたい。

 米・加の大停電で強く感じたのは人々の冷静な行動だった。明るい時間帯だったことや、電力会社や自治体などの対応も、たぶん適切だったからだろう。

 私たちも首都停電の恐れから多くを学んでいる。企業の、一般の家庭での節電がある。電力の消費地と発電地域の痛みの共有感も、それだ。

 が、水や空気と同様、まだ電気は所与とみなしがちである。長い時間の停電への対応も未知数だ。米・加の大停電は決して人ごとではない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030816/col_____sha_____003.shtml