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2003年07月18日(金) 00時00分

NTT接続料 値上げは妥当だったか 東京新聞

 NTT接続料をめぐる訴訟は、これからの電気通信産業の在り方に一石を投じた。コストの算定は妥当だったのか、NTTはどこまで合理化が可能なのか、司法の判断に注目する。

 KDDI、日本テレコムなど新電電五社は十七日、総務省を相手に、NTTの市内回線網に接続する際の料金引き上げ認可を取り消すよう、東京地裁に行政訴訟を起こした。

 電気通信事業者が監督官庁を訴えるのは、初めてのことである。

 新電電が市内、長距離、国際電話を問わず固定通信事業を行う際には、市内回線網を事実上独占しているNTT東日本、同西日本の回線に接続してもらう必要がある。その際、新電電はNTTに接続料を支払わなければならない。

 接続料は一九九四年度以来、通信自由化を求める米国の圧力や旧郵政省の競争促進政策もあって、一貫して引き下げられてきた。NTTが最も効率的に投資した場合を前提としていたうえに、固定電話の総通信量が伸び続けていたからである。

 しかし、今年四月には、接続料は初めて約5%引き上げられた。

 固定電話の総通信量が前年に比べて約18%も減少したからである。通信量がこれだけ減っては、効率的な投資をしても、それをカバーするのは困難だという。

 しかし、接続料引き上げは、末端の市内回線網をNTT東日本、同西日本に依存せざるを得ない新電電各社には大きな打撃である。

 引き上げ分を各種の料金に転嫁すれば、消費者からの反発を受けるのは必至だ。転嫁しなければ、コストがかさみ、減益あるいは赤字転落の要因になりかねない。

 さらにやっかいなのは、固定通信の減少が一過性の現象ではないことだ。携帯電話は緩やかながらも、さらに伸びるだろうし、IP(インターネット・プロトコル)電話は急速に普及しつつある。

 NTTの三月期決算は固定電話事業の落ち込みのため、初の減収決算を余儀なくされたほどだ。

 こうした状況では、従来のように接続料を下げ続けるのが難しいのは、事実である。

 それでも何とか、接続料を引き上げずに済ませることはできないのか。NTTはここ数年、かなり大幅な合理化を実施してきたが、まだ、合理化余地はあるのではないか。

 接続料問題は、電気通信産業が置かれた状況を象徴的に表している。東京地裁は、日本の情報通信の未来を見据えて、値上げの是非に判断をくだす必要がある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030718/col_____sha_____003.shtml