悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年07月17日(木) 00時35分

住基カード、利用足踏み 条例制定は45市区町村だけ朝日新聞

 8月25日に始まる住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の2次稼働をめぐり、住基カードを独自に利用する条例をつくった自治体は全国で45市区町村にとどまることが朝日新聞の集計でわかった。総務省は、多機能性をもつカードの便利さを強調し、条例の制定をうながしている。しかし、「ニーズの見極めがつかない」「多額の費用がかかる」などとして、大半の自治体から背を向けられた形だ。

 住基カードは2次稼働に伴い、希望者に1枚500円程度で配布される。集積回路(IC)付きで、自治体は利用条例を定めれば独自のサービスを展開できる。

 総務省は今年初めから、機械を使った各種証明書の交付、公共料金の決済、図書館の貸し出しサービスなど15の例を示し、多機能カードとして使えるよう積極的な条例制定を呼びかけていた。

 ところが、朝日新聞が今月初め、各都道府県の担当課などで調べたところ、カード利用条例をつくっているのは23都道県にある計45の市区町村だけだった。7月上旬現在、全国の市区町村数は3207で、その1.4%にすぎない。利用のしかたは、住民票の写しや印鑑登録証明書の自動交付が大半だ。

 13の政令指定都市で条例を制定したところはなかった。理由について、横浜市は「いまのところ、条例化する必要のあるサービスがない」、大阪市は「付加サービスのニーズの見極めがつかない」、福岡市は「具体的な目的がない」と回答した。

 経費面を不安視する声も目立ち、神戸市は「費用対効果を考えると難しい」、京都市は「財政上新たな設備投資は苦しい」とした。北九州市と広島市は「システムの改修や導入に多額の予算が必要」と説明した。

 名古屋市は「カードの偽造など個人情報保護の観点から慎重な検討が必要」、札幌市は「何に使うのが最も有効かという観点でじっくり考えている」。千葉市、川崎市は「検討作業が間に合わなかった」、仙台市、さいたま市は「検討中」と答えた。

 一方、個人情報保護条例を定めた市区町村数は4月現在で2352。制定比率は前年の65%から73%に上がった。住基ネットや防衛庁リスト問題などをめぐる論議を通じ、関心が高まったことも影響したと見られる。

 個人情報が漏れた場合、住基ネットとの接続を切断できる内容の規定を盛り込んでいる自治体も、少なくとも14ある。

      ◇

 <住基ネットの2次稼働> 住基ネットは「電子政府」構想の土台とされ、昨年8月にスタートした(1次稼働)。国民全員に11ケタの番号が振られ、氏名や住所などの本人確認情報がコンピューターで一元管理されている。2次稼働では、住基カードか運転免許証などがあれば、全国どこの自治体でも住民票の写しをとれるようになる。(07/17 00:35)

http://www.asahi.com/politics/update/0717/001.html