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2003年07月17日(木) 00時00分

3月31日までの辞退者 入学金、大学に返還命令 京都地裁判決 東京新聞

 大学入学を辞退したのに前納した入学金や授業料などを返さないのは、消費者契約法に違反するなどとして、京都女子大(京都市)などの元受験生ら五人が同大学を運営する京都女子学園など二つの学校法人に計約二百九十五万円の返還を求めた訴訟の判決が十六日、京都地裁であった。水上敏裁判長は受けていない授業料などに加えて四月一日より前に入学辞退を明らかにした二人分の入学金返還を認め、二法人に計約二百二十万円の支払いを命じた。

 また入学手続きに消費者契約法を適用。「前納金は返還しない」との入学要項の特約を無効とする初の判断を示した。

 二〇〇一年四月の同法施行後、各地で相次ぐ前納金返還訴訟の初判決で、各大学に入学手続きの見直しを迫りそうだ。

 入学金返還が認められたのは、五人のうち京都女子大の元受験生と成安造形短大(京都府長岡京市)の元受験生の父。残る京都女子大や同大短大部の元受験生三人は授業料や施設整備費など。

 判決理由で、水上裁判長は入学金を「学生の地位を取得する対価」、授業料を含むその他の費用は「教育活動などや施設利用の対価」と定義。

 その上で在学契約は四月一日から始まるとし、同日以降に入学辞退の意思表示をした三人はいったん学生の地位を取得したとして、入学金返還の請求を退けた。

 また大学側は要項の特約の効力を主張したが、水上裁判長は「入学辞退によって一定の損害をこうむるが、消費者契約法は契約解除に伴う『平均的な損害』のみの賠償を定めている」と指摘。特約を無効とした上で、大学側に「平均的な損害」の立証責任を負わせた。

 判決によると、五人は〇二年度入試でそれぞれ京都女子大などに合格。入学手続き後に別の大学に合格したため、入学を辞退し、前納金の返還を求めたが、大学側は要項の特約などを理由に拒否した。成安造形短大は入学金を除く前納金をすでに返還していた。

 原告弁護団によると、各地の訴訟で前納金返還を求められている大学などは約百二十校。文部科学省は昨年六月、私立大に対し、入学金を除く前納金の納付期限などを国公立大の合格発表後にするように指導。京都女子大を含むほとんどの大学が従い、〇三年度入試から規定を変更している。

<メモ>
 消費者契約法 消費者と事業者の契約で消費者の利益を守るため、2001年4月に施行された法律。事実と異なる勧誘などで契約してしまった際の契約取り消しや、消費者が契約を解除した際、事業者は発生した損害額までしか違約金を請求できないことなどを定めている。前納金返還訴訟の京都地裁判決は大学への入学契約に同法を適用。大学側は入学辞退によって生じる損害を前納金から徴収できると判断したが、大学側は損害を明らかにしなかった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20030717/mng_____sya_____004.shtml