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2003年07月14日(月) 21時20分

<オウム公判>土谷被告に死刑求刑 サリン生成方法を確立毎日新聞

 松本、地下鉄両サリン事件を含む7事件で殺人罪などに問われたオウム真理教(アーレフに改称)元幹部、土谷正実被告(38)に対し、東京地検は14日、東京地裁(服部悟裁判長)の公判で死刑を求刑した。検察側は論告で「松本智津夫(麻原彰晃)被告の頭脳として、悪魔に魂を売り渡した殺人化学者。教団で唯一、サリン、VXの生成方法を確立して大量無差別殺人を可能にし、刑事責任は松本被告に準じた存在」と指摘した。9月18日の最終弁論で結審し、年内にも判決の見通し。

 一連の事件で死刑求刑は14人目で、全被告に対する求刑が終わった。

 「化学班キャップ」の土谷被告は化学兵器や麻薬などの生成・製造の中心と位置付けられ、計20人の殺害に関与したとして起訴されたが、大半の事件で無罪を主張している。

 検察側は地下鉄サリン事件について「被告はサリン生成を主導して、重要な役割を果たした」と述べ、松本被告への帰依を続けていることにも触れ「自己の行動を正当化し、悔悟の情や反省の心はみじんもない。人間的良心のひとかけらも見いだせず、極刑をもって臨むほかない」と断じた。

 ◆土谷被告が起訴された事件と罪名

 (1)幻覚剤PCP密造(麻薬取締法違反)(2)松本サリン(殺人ほう助など)(3)水野昇さんVX襲撃(殺人未遂)(4)浜口忠仁さんVX殺害(殺人)(5)永岡弘行さんVX襲撃(殺人未遂)(6)地下鉄サリン(殺人、同未遂)(7)手配信者の隠匿(犯人蔵匿)

 ◆「私に人生の帰り場所はない」

 「職業は麻原尊師の直弟子」と帰依を言明し続けてきた土谷被告は、検察官に「早く死刑求刑しろよ」などと口を挟み、傍聴席に向かって「何笑ってんだ、おい」とすごむ場面もあった。死刑を求刑されると、検察官をにらみつけていた視線を外し、納得したような平静な表情に戻った。

 この日も、紫のシャツ姿。紫はかつての教団では「最終解脱者のみが着るのを許される」とされた色だ。被害者遺族の心情を読み上げる場面では、天を仰いで落ち着かない様子を見せた。

 裁判では、専門用語を駆使して、両サリン事件を他の団体が行ったとする「陰謀説」を展開した。意に沿わない質問には、検察官や自分の弁護人すらもののしって、教団随一の化学者とされる自負心をのぞかせた。一方、自分を「ヒラのサマナ(信者)」と呼び、村井秀夫元幹部(故人)らの指示下にあった立場を強調した。

 今月2日の最後の被告人質問。大半を費やしたのは、化学研究と並ぶ「ワーク」だったという戦争史などに関する持論の説明だった。裁判長から「サリン生成をやめる気持ちはなかったのか」と問われると、「やめることは下向(げこう)(=出家信者の資格を失うこと)を意味する。私に人生の帰り場所はない」と答えた。【清水健二】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030715-00000085-mai-soci