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2003年07月06日(日) 00時00分

IP電話 進む普及 参入相次ぎ混戦に 東京新聞

 インターネット技術を利用したIP電話サービスが本格化してきた。大手のインターネット接続業者(ISP)や通信事業者が今春、一般向けに続々と参入。先行するソフトバンクの「ヤフーBB」を中心に混戦模様となり、急スピードで普及が進んでいる。ただ、IP電話から一一九番などの救急電話につながらないほか、停電時は使用できない死角があるなど技術的課題も残されている。(経済部・横光竜二)

■追撃

 今年三月、ニフティ、NTTコミュニケーションズなど大手接続業者四社が一斉にIP電話事業に参入。昨年四月から全国規模のIP電話サービスを展開するソフトバンクの「ヤフーBB」追撃態勢を整えた。先月には、KDDIと日本テレコム、電力系のパワードコムの三社グループが自前の回線を持つ通信事業者同士としては初めて相互接続を開始した。

 IP電話利用者数は既に約二百三十五万人(五月末現在)に達するソフトバンク「ヤフーBB」。三社グループはNTTコミュニケーションズと並び、ヤフーBBを追う有力な勢力だ。

 また、首都圏や中部、関西地区では、ケーブルテレビ(CATV)事業者などが共同で広域なIP電話の実験を始めた。多くのIP電話でまだ通話できない携帯電話への接続が今秋にも本格化する見通しだ。

■通話料

 IP電話の最大のセールスポイントは、全国一律三分七−八円という料金設定。NTTコミュニケーションズの回線で百キロ超の県外通話をした場合の三分八十円(平日昼間)と比べて常識を覆す安さだ。高価で保守点検費用がかかる電話交換機に代わり、格安の通信機器でインターネット網を経由することで設備投資を大幅に減らした。

 一般電話回線でインターネットに常時接続できるADSL(非対称デジタル加入者線)などを使えば、同一の接続業者の契約者同士や、KDDIなど三社のように提携した接続業者の契約者同士の通話料は無料になるのも魅力。条件次第で一カ月の通話料がこれまでの一割程度にも節約できるとあって利用者は今後も増えそうな勢いだ。

 二〇〇二年末の個人向けIP電話回線数は、前年比でほぼ倍増の約三百八万回線。一般電話からの着信が可能になる「050」ではじまる電話番号付与が今秋から本格化し、〇三年末には同72%増の五百三十万回線に急増するとの推計もある。

 民間調査機関の矢野経済研究所は、〇七年末には最大約二千八百万回線と、NTT東西地域会社の現在の固定電話約六千万回線の半分近くに迫ると予測している。

■死角

 IP電話には、一一〇番や一一九番などの緊急電話につながらない弱点もある。現時点では一般の電話回線に迂回(うかい)させることができないためだ。停電時には使えないことも、あまり知られていない。首都圏で電力不足による停電が危ぶまれる今夏はとくに気になる問題だ。

 また、かかりにくい場合には自動的に一般回線を使う仕組みになっており、後で別の電話会社から請求が来てトラブルになるケースもある。

 IP電話を導入することで逆に損をするケースもある。普段からあまり電話を使わない、電話をかけても市内通話ばかりだという人は恩恵が少ない。通話料が多少は安くなっても、IP電話機器レンタル料などで割高になる可能性もある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030706/mng_____kakushin000.shtml