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2003年07月05日(土) 11時18分

たばこ屋外広告撤去、マンション管理組合には「頭痛」朝日新聞

 たばこの屋外広告が自主規制で次々と撤去され、思わぬ余波が出ている。貴重な賃料を失ったマンションは、穴埋めのため修繕積立金を値上げした。屋外広告の媒体料金の相場は急落し、屋外広告業界の消失分は100億円を超すともいう。日本たばこ(JT)は来春までに大部分の屋外広告をやめる。顔をくもらせる関係者はさらに増えそうだ。

 東京・浅草の10階建て分譲マンション「言問パークアベニュー」(25戸)は、今月から管理費・修繕積立金を大幅に引き上げる。

 隅田川沿いの首都高速からよく見える一等地。15年前、屋上に縦6メートル、横12メートルの大きな看板を立て、フィリップモリス社の広告に貸した。年500万円の賃料は「マンションの修繕費に」と積み立ててきた。

 ところが昨年1月末で契約が打ち切られ、計画が狂った。看板は「空き家」になったままだ。

 「議論して積立金の引き上げ幅を決めたが、これでもまだ足りない。代わりの広告主を探しているが、この不景気で難しい」と、このマンションの管理組合前理事長、安部剛さんはいう。

 隅田川の対岸、墨田区本所にある8階建て分譲マンションでも、1年前、JTの屋上広告が打ち切られた。組合理事長の片瀬進さんは「たばこ看板があるから管理費が安いだろうと入居した。まさかなくなるとは」。

 屋外広告の業者によるとたばこの場合、約4割が分譲マンションの屋上を利用しているという。同じようなことは全国各地で起きている。

 屋外広告業界にとって、たばこはドル箱だった。全日本ネオン協会の広辺裕二会長によると、85年に外国たばこが自由化され、宣伝競争が激化。テレビCMの自主規制が始まり、浮いた巨額の広告費が屋外になだれ込んだ。屋外全体の料金を異常につりあげ、場所が良ければ年1000万円にもなった。

 02年の大型広告の自主規制後、料金は3分の1程度に急落した。「業界全体で年100億円以上の収入減です」と広辺会長は言う。

 きっかけは、JTや海外のたばこ会社が01年に合意した「マーケティング国際基準」だ。面積35平方メートルを超える屋外広告が禁止になった。日本には基準を超える大型広告が千数百基あったといい、各社は昨年末までにすべて取り外した。

 今年5月には世界保健機関(WHO)が「たばこ規制枠組み条約」を採択した。今後、各国の批准で発効すれば各国は5年以内にたばこ広告を禁止することになる。業界全体の広告縮小の流れは加速している。

 JTの屋外広告は94年の約550カ所が最多だったが、ここ数年は減少の一途。JT広報室は「来年3月末までに、内部に発光装置がある広告塔を除いて、屋外広告から撤退する。不特定多数が見る屋外より、対象者を絞ったたばこ店などでの広告に戦略を切り替えつつある」と言う。(07/05 10:36)

http://www.asahi.com/national/update/0705/012.html