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2003年07月02日(水) 03時05分

超高利無効、罰金最高1億円 ヤミ金融対策で与野党合意朝日新聞

 法外な金利で貸し付けて被害者が相次ぎ、社会問題化しているヤミ金融を規制する法改正で、1日、与野党が最終合意した。来週にも貸金業規制法などの改正案が国会に提出され、全会一致で成立する見通しで、来年1月にも施行される。違法行為に対する罰則強化などは来月にも前倒し実施する。一方、貸金業者などから出ていた出資法が定める貸金業の上限金利(年29.2%)の引き上げ要求については、現状維持とし、3年後のヤミ金融対策の見直し時期に合わせ再検討する。

 1日、与野党の担当国会議員が会合を開き、両者の折衷案をヤミ金融の対策法案とすることで了承した。来週にも衆院の財務金融委員長名で提出する。

 罰則強化では、無登録法人の罰金を現在の「300万円以下」から「1億円以下」に大幅に引き上げる。無登録営業や高金利貸し付けに対する懲役刑は「3年以下」から「5年以下」に変更。ほとんどの裁判で執行猶予がつくのは懲役3年以下のため、実刑判決が出やすくなる可能性がある。

 貸金業登録の条件も厳しくし、暴力団との関係がある法人の登録を厳格に拒否するほか、貸金業を営む法人に対しては500万円、個人には300万円の手持ち資金の保有を義務づける。

 最大の焦点となっていた高金利契約を無効にする条文は、出資法で貸金業以外のあらゆる貸し借りの上限とした年109.5%を超える契約について、金利をすべて無効とすることで折り合った。消費者団体などの「違法貸し付けは金利だけでなく元本も含めて返済義務はない」とする主張については、「借り手にも責任があるうえ、返済するつもりがないのに借りるという倫理の喪失も起きかねない」などとして採用を見送った。

 ヤミ金融業者は、年数百〜数千%の金利をとっている場合が多いため、超高金利貸し付けの金利契約無効が盛り込まれたことで一定の効果を生みそうだ。

 ただ「ヤミ金融を根絶するためには、一回でも摘発されたら割に合わない商売だという意識を植え付けるべきで、元本も無効にする必要がある」(弁護士)との声も上がっている。被害状況の推移によっては、3年後の見直しで再び焦点となる可能性が高い。

■ヤミ金融対策の法改正の骨子

【登録要件の厳格化】

・暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者、これらが役員などである法人、暴力団員などを業務に従事させるおそれのある者は登録拒否

・過去における登録取り消し者などの登録拒否期間を現在の3年から5年に延長

・一定額の手持ち資金を義務化

・研修を受けた貸金業務取り扱い主任者の設置義務化

・国の登録免許税を現在の9万円から15万円に引き上げ

【取り立て行為などの規制強化】

・無登録業者の広告、勧誘の禁止。違反した場合は罰則の対象

・貸し付け、債権の取り立てに当たり、偽り、不正、著しく不当な手段を用いることを禁止

・取り立てに当たり、相手の請求があったときは身分証明書の提示を義務化

【罰則の強化】

・無登録営業の刑事罰を現行の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から「5年以下もしくは1000万円以下」(法人は1億円以下)に引き上げ

・出資法の規定を超える高金利に対する刑事罰を現行の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から「5年以下もしくは1000万円以下」(法人は3000万円以下)に引き上げ

【その他】

・年利109.5%(うるう年は年109.8%)を超える契約は利息部分の契約無効

■ヤミ金融問題

 出資法の上限金利(年29.2%)を超える高金利貸し付けや無登録営業などで摘発された業者数は、99年の149から02年には238に増加。その被害者は12万人とされる。しかし摘発業者はごく一部で、実際の被害者は100万人以上とされる。「ヤミ金融業者」は、国や都道府県に登録しながら高金利で貸し付ける業者と、無登録業者の2種類ある。最近深刻化しているのは、登録業者による違法貸しで、02年の摘発の約4割が登録業者。現行制度は登録審査や罰則が甘く、大半は摘発されても罰金だけの略式起訴となり、実刑判決はまれ。暴力団などが組織的に登録し、違法行為を重ねているとみられる。(07/02 03:04)

http://www.asahi.com/business/update/0702/004.html