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2003年07月02日(水) 06時00分

高速別納割引の差益、身内企業へ年数千万円 福岡の組合朝日新聞

 日本道路公団の「通行料金別納制度」を利用する事業協同組合のひとつ「九州ベック」(福岡市)が、専務理事や職員(いずれも当時)の妻をそれぞれ社長とする会社と不自然な業務委託契約を結び、年間数千万円の委託料を支払っていたことがわかった。理事会や総代会に十分な説明がないまま、別納割引で得た差益が身内の会社に流れていた。ほかにも約7000万円が使途不明になっているといい、内部の調査委員会が調べている。

 九州ベックは81年9月に設立され、会員数約800事業所の異業種組合。公団から約29%の高速道路通行料金の割引を受ける一方で、組合員への割引率は十数%とし、その差益を収益としていた。02年5月期の収益は約1億円で、その約95%を別納事業による収益が占めた。

 朝日新聞社が入手した組合の資料や関係者によると、九州ベックは91年、専務理事の妻が代表を務める会社に健康食品の販売業務を委託し、月額400万円の委託料を支払い始めた。委託は数年間続き、別納事業の差益から年間4800万円が健康食品販売などにつぎ込まれた。しかし、この事業を含む商品販売事業で組合が得た収益は02年5月期で年に72万円にすぎず、ほかの年も「利益はあまり出ていなかった」(関係者)という。

 組合の職員は、当時4人。このうち男性職員2人は、通常の給料を得る一方で、それぞれ自宅に妻を社長とする有限会社を設立。組合は91年からこの2社に事務を「委託」し、基本手数料としてそれぞれに年間924万円を支出。95年には専務理事の妻を社長とする別の会社とも組合事務代行の委託契約を結び、年間1200万円の基本手数料を払っていた。この会社には車のリース名目でも年に360万円が支出された。

 委託料は計数億円にのぼったとみられ、いずれの支出も数年間続いた後に縮小されたという。

 組合はさらに、これらの会社を、組合員企業を勧誘する「支部」と位置づけ、組合員を獲得すると一種のマージンである「管理手数料」を支出していた。マージンはそれぞれが獲得した組合員が使う高速料金の5%分だったという。

 02年初めごろ、内部調査で「身内企業」への高額の委託契約が判明。調査委員会をつくって調べたところ、代表理事が組合設立時に出資した7000万円の運営資金がなくなっていることもわかったという。

 組合は多額の使途不明金を出したとして、昨年に専務理事を解任。職員2人も辞職し、不自然な委託契約も現在は解消している。代表理事は「元専務理事に運営を任せており、業務委託の契約などは全く知らなかった」と話している。

 一方、解任された元専務理事は「健康食品の売り上げが伸びなかったため委託料が高すぎるという批判が残った。委託料は会社に入ったのであって、個人に入っているわけではない」と話している。(07/02 05:59)

http://www.asahi.com/national/update/0702/002.html