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2003年07月02日(水) 00時00分

日付で言えばたばこ増税のきのうは、専売たばこ初売りの日だっ… 東京新聞


 日付で言えばたばこ増税のきのうは、専売たばこ初売りの日だった。明治三十七(一九〇四)年の七月一日、口付き二十本入りの敷島が八銭、大和七銭、朝日六銭。他に両切りのチェリーなど▼たばこ名を並べると、敷しまの倭(やまと)ごゝろを人とはば朝日ににほふ山さくら花、の本居宣長の歌を思いうかべたくなる。たばこ専売制度は、その年の二月に始まり翌年に至る日露戦争の戦費調達のためだった。高い定価を強制する専売は新税にほかならない▼少し古い本だが、財政学者で斎藤茂吉の大ファンである佐藤進さんが、およそ一万八千首とされる茂吉の歌から税をよんだ三首を見つけたと書いていた(「文学にあらわれた日本人の納税意識」東大出版会)。一首目は東京・青山の脳病院長として。<新しき源泉課税の拡りをおもひ居りつつ廻診すます>▼源泉徴収は戦時下の税徴収を簡便にするため、ドイツがまず採用した方法だ。二首目は昭和二十二年の財産税申告の時、疎開先だった山形でつくっている。<外套のまま部屋なかに立ちにけり財申告のことをおもへる>。悄然(しょうぜん)と立ち尽くす老人が想像される▼三首目は確定申告に向かう途中。<税務署へ届けに行かむ道すがら馬に逢ひたりあゝ馬のかほ>。馬好きの歌人はすこし緊張を和らげる。税を払うのがいやだとは言わないが、以上の三首は税に対する日本人の感情をうまくいいあてている気がする▼たばこ一本約一円の増税。微々たるようで、納税者は広く薄くに安易に頼る国の体質を疑っている。言い換えれば、甘く見るなよ…。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20030702/col_____hissen__000.shtml