2003年06月30日(月) 07時05分

無登録農薬　ナスに１２戸が使用　宮城・岩出山（河北新報）

　宮城県は２９日、同県岩出山町の農家１２戸が２０００年から昨年にかけて、ナス栽培で無登録農薬の植物成長調整剤を使用していたと発表した。無登録農薬は、地元農協が関東地方の業者から購入し、農家に販売していた。農家は昨年夏まで無登録農薬を使用していたが、「本年産ナスには使用していない」と話しているという。

　同県食産業・商業振興課が同日、東北農政局から通報を受け、農家を立ち入り検査した。２７、２８の両日には販売業者にも立ち入り検査を実施した。
　無登録農薬は「らん一番」という名称で、２０００年から昨年７月まで、岩出山町の「いわでやま農協一栗支所」が関東に本社がある種苗会社の仙台支店などから計８０本を購入した。

　８０本のうち２０本は業者に返品し、５本は農協で保管していた。山形県などで無登録農薬販売事件が起きたのを受け、昨年８月に販売を中止し、農家に残っていた農薬は自主回収したという。５０本前後が農家などに販売されたとみられ、県は使用量や詳しい使用時期について確認を急いでいる。

　県は農協に対し、無登録農薬の使用の有無が確認されるまで、農家１２戸分のナス出荷を自粛するよう求めた。いわでやま農協の担当者は「種苗会社に勧められ、農家にも促される形で購入した。成長剤であり、農薬という認識はなかった。なぜ見抜けなかったのか、反省している」と話している。

　「らん一番」には、野菜などの実付きを促進するとされる三つの成分が含まれている。１９７７年まで農薬登録されていたが、需要が低いことなどから、メーカーが製造しなくなり登録が失効したという。
[河北新報 2003年06月30日]（河北新報）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030630-00000006-khk-toh